生活保護は、生活が困窮している人を支援するための国の制度です。申請すると生活費が支給される代わりに”受給中にしてはいけないこと”が決められています。
内容によっては、生活保護が打ち切られてしまう可能性もあるかもしれません。生活保護の申請をしている人は収入が少ない、無職などの事情を抱えているからこそ不安に思うでしょう。本記事では、生活保護受給者がしてはいけないこと、また逆に許容される範囲について徹底解説します。
生活保護の受給を検討している人は、該当するかどうか確認してみましょう。
生活保護の受給条件
生活保護は、生活困窮者に最低限の生活を保証するための制度のことをいいます。
福祉事務所を通して誰でも申請はできますが、受給するためには厚生労働省が定めた条件に該当する必要があります。
審査に通り生活保護を受給するとさまざまな生活の制限がかかります。
生活保護の受給条件は以下の通りです。
・まとまった資産がない(10万円以上)
・生活保護費よりも安い収入しかない
・親族など援助してもらえる人がいない
生活保護は、資産がない人が受給できる制度であることがわかるでしょう。
生活保護でしてはいけないことをするとどうなる?
生活保護は、国民の税金によって賄われているものです。
そのなかでも、生活保護の不正受給が発覚するなど、悪用されたという話も少なくありません。生活保護受給者がしてはいけないことをするとどうなるのか、まずは説明していきたいと思います。
売却する指導や、生活保護費が減額される
生活保護受給者が持ってはいけない資産が、福祉事務所やケースワーカーに発覚すると売却するように指導を受けます。
その後、売却した金額は収入となるため、生活保護費から減額される仕組みです。もともとは自分で所有していたものを売却することになりますし、生活保護費が減ってしまうこともあり、損をすることになります。
例えば、パソコンやスマホなどの電子機器や、自動車やバイクなどを隠して所有することのないようにしてください。
生活保護の廃止のリスクが出てくる
ケースワーカーに指導されたにも関わらず、改善が見込めない場合は生活保護そのものの廃止処分=打ち切りになってしまうことも考えられます。受給者ではなくなるため、生活保護費を受け取ることはできません。
ちなみに、似ている言葉で停止がありますが、何かしらの理由により一時的に支給を停止することをいいます。
例えば、病気やケガで生活保護を受給していたものの完治し仕事が再開できたとします。生活保護はすぐに廃止されるものではなく、しばらく様子を見てから決める流れとなります。
理由次第では再申請ができなくなる
生活保護の廃止処分を受けてしまうと、経済的に自立しているとはいえない状況であっても生活保護費が支給されなくなってしまいます。
理由次第で生活保護の再申請を行っても、受給される可能性が低くなってしまうことも考えられます。セーフティーネットである生活保護の選択肢がなくなるのは、厳しい部分もあるでしょう。
再申請できなくなれば、自分で生活を厳しくしてしまうリスクが出てくるのです。
生活保護受給者がしてはいけない10のポイント
生活保護受給者がしてはいけない10のポイントについて説明します。
・収入があったことをケースワーカーに報告していない
・生活保護費用を借金の返済に使用している
・生活に不必要な高価な所有物や資産を持っている
・ケースワーカーに居留守、指示に従わない
・各種ローンを利用する(住宅ローンや自動車ローンなど)
・返戻金の多い貯蓄型の保険に加入してしまう
・必要以上の貯金をしてしまう
・クレジットカードを所有する(要相談)
・株や有価証券を所有する
・2台目のスマホやPCを所有すること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
収入があったことをケースワーカーに報告していない
受給中に収入があったもののケースワーカーに報告しないのは「重大な規定違反」となってしまいます。
もし、報告しておらず、最低生活費以上の金額を受給した場合は不正扱いになってしまいます。収入とは給料だけでなく年金や慰謝料、養育費のように就労の有無にかかわらず入ってくるものもあります。
これらの収入が生活費として利用できる場合は、生活保護費から差し引かれる形になります。
基礎控除15,200円がある
ただし、生活保護には勤労控除15,200円(基礎控除)が設定されています。
生活保護を受給し何かしらの収入があったときは、収入分が差し引かれますがそれだけでは就労意欲を損なう可能性も否定できません。基礎控除15,200円を超えた収入に合わせて細かく変動する仕組みです。
生活保護を受給しているからといって、収入すべてが差し引かれるわけではありません。収入があったことをケースワーカーに報告しないのはおすすめできません。
生活保護費を借金の返済に使用している
生活保護費を借金の返済に充ててはいけないと決められています。
借金が原因で生活が困窮しても保護の申請を行うことは可能ですが、借金の返済は別の方法で清算する必要があります。生活保護には借金の契約を無効にする効力はなく、受給後も借金の催促や取立てがなくなるわけではありません。
また、借金の取り立てを無視し続けると滞納していることになるため、差し押さえの対象になる場合もあります。
借金は、自己破産や個人再生・任意整理の手続きを行うようになります。
生活保護受給者が新たに借金をすることを、明確に禁止する法律はありません。それでも、生活保護費を使って借金の返済ができないため、返済の目途がたたなくなってしまいます。
生活に不必要な高価な所有物や資産を持っている
生活に不必要な高級ブランド品や骨とう品、家や自動車などの資産の高いものを持っていると、原則として生活保護は受給できなくなります。
所有していることが悪いわけではないのですが、資産価値の高いものを売却すればある程度まとまったお金になります。ケースワーカーの判断によっても変わってきますが、生活費に充てるように指導されます。
また、自動車は維持費の負担もありますし公共交通機関もあるため、必ずしも生活に必要なものではありません。また、事故を起こしてしまったときに損害賠償等の支払い能力がないため、運転してはいけないと決められています。
ケースワーカーに居留守、指示に従わない
生活保護を受給すると、担当のケースワーカーがつきサポートしてくれます。
受給者が社会復帰をするための就労支援をするのが仕事になり、さまざまな決定権を持っています。生活保護受給者のなかには、ケースワーカーの指示に従わず居留守を使ったり就職活動をしない人もいます。
生活保護を受給している理由によっても変わりますが、生活に困窮している理由が解消されたときは社会復帰に向き合わなくてはいけません。
働ける状態なのに努力をしないと、就職する前に生活保護の打ち切りになってしまうこともあります。ケースワーカーの指示には素直に従うようにしましょう。
ケースワーカーと相性が悪いときは
ケースワーカーも受給者も人間だからこそ、性格が合わないこともあるでしょう。ただし、性格の不一致を理由に指示に従わないことは認められません。
なかにはケースワーカーと受給者が仲良くなり、友人関係になることもあるかもしれません。情が芽生えてしまうと、適切な対応ができなくなってしまうため、ケースワーカーは定期的に変更しています。
各種ローンを利用する(住宅ローンや自動車ローンなど)
生活保護受給者は、住宅ローンや自動車ローン、国の教育ローン(教育一般貸付)や日本郵政金融公庫などの融資をすることは認められていません。
そもそも、生活保護費でローンの返済は認められていないため、生活保護本来の目的に反しているといえます。また、生活保護受給者は返済能力がないとみなされるため、審査に通らないケースがほとんどです。
ただ、ローン会社のなかには申込者が生活保護を受給しているかどうか確認をしていません。まれではあるものの受給者であることを隠したまま審査が通り、購入出来てしまう人もいます。
ローンを組んで購入したことをケースワーカーが知った場合、生活保護費の停止になる可能性も出てきます。どんなに隠していても、バレる可能性があるためやめておきましょう。
返戻金の多い貯蓄型の保険に加入してしまう
生活保護受給者は、保険の加入が認められていません。
そもそも生活保護は、世帯の状況に応じて「扶助」が行われ、生活保護費が別途支給されています。そのため、保険に加入する必要がないとみなされているためです。
保険にも種類がありますが、返戻型の多い貯蓄型の保険に加入すると「資産」の扱いになるため、生活保護受給者は認められていません。
生活保護は税金から賄われていることもあり、国の税金を使って資産を算出していることになってしまいます。もし、保険に入りたいのであれば掛け捨ての生命保険であれば認められる場合もあります。保険料が低額であり、解約委返戻金が少額の場合はそのまま保険に加入したままの人もいます。
必要以上の貯金をしてしまう
基本的に、生活保護は生活困窮者に対して自立までの経済的な支援を行います。そのため、生活保護を脱却したときに貯金が全くないと不安に感じることもあるでしょう。
家電や家具を買い替える費用や、冠婚葬祭、転居費用などを目的で貯金をすることは認められています。生活保護制度で貯金額について、明確な上限額は定められていません。
ただ、貯金額が高額になりすぎた場合、保護費が支給されなくても生活できるとみなされてしまいます。また、貯金をするときにケースワーカーにバレないようにタンス預金で申請しない人もいます。銀行口座ならまだしも、申告していない場合は不正受給を疑われる可能性があり停止処分になってしまうリスクも考えられます。
クレジットカードを所有する(要相談)
生活保護受給者がクレジットカードを保有するときは、事前にケースワーカーに相談するのをおすすめします。クレジットカードの保有や利用について禁止されているわけではありません。日常的な買い物をしたり携帯電話の支払いなども認められます。
ただ、高額な物品を購入することは認められていないため注意してください。また、キャッシングを使うと収入とみなされてしまうため、生活保護費が減額になる可能性も出てきます。注意点として、生活保護を受給していると、安定した収入があるとはみなされなくなってしまい新規でカードを発行したり、更新できない場合も考えられます。
株や有価証券を所有する
株や有価証券は、時期を問わずいつでも売却できます。生活保護受給者の場合、資産になるため所有を認められる可能性が少なく、即時売却するように指導を受けることになります。生活に必要なものではないため、認めてもらえない可能性が高いといえるでしょう。
2台目のスマホやPCを所有すること
スマホやPCなど高価なものなので所有するのが難しいと思っている方もいるでしょう。
いずれも生活していくための必需品であり、ケースワーカーに連絡をするときにも使います。就職活動で企業と連絡をとるためにもスマホは必要になります。ただ、スマホやPCを2台持ちにするなど、必要以上に所有することは贅沢品の扱いになるため禁止されています。
生活保護受給者が所有できない高価な所有物とは
生活保護受給者が所有できない、高価な所有物にはどんなものがあるのでしょうか。
ただし、条件によっては所有できる場合もあります。
ケースワーカーに相談しつつ所有できるか確認しておきましょう。
・持ち家や土地(条件あり)
・自動車やバイク(条件あり)
・保険の新規加入(生命保険や学費保険)
それぞれ説明します。
持ち家や土地(条件あり)
建物の種別を問わず持ち家がある場合は、生活保護の支給対象から外れてしまいます。
ただし、持ち家を売却しても引越し費用よりも安くなる場合や、賃貸物件への住み替えが難しい場合、住宅ローンを完済していると認められる場合もあります。実際に、生活保護受給者のうち、持ち家は3%程度と少なく、5万世帯程度だといわれています。
生活保護受給の申請時に、住宅ローンが残っている人や資産価値の高い持ち家は売却を求められる場合もあります。
自動車やバイク(条件あり)
自動車やバイクも売却するとまとまったお金になります。
そのため、維持費も含め生活に必要なものとはみなされません。生活保護受給をしていても車を所有できる条件として、公共交通機関が発達していない地域に住んでいる人です。
また、仕事の都合で車が必須になる人は認められる場合もあるでしょう。
基本的に通勤・通学に車が必要になる場合は、特別に認められる人もいます。担当のケースワーカーによって変わってくる部分もあるため、相談して決めるようにしてください。
保険の新規加入(学費保険)
生活保護受給中は、学資保険や医療保険などに新規加入してはいけないと決められています。子どもがいる場合は、義務教育中のみ教育扶助が上乗せされて支給されています。そのため、すでに状況に合わせた追加の支給があるため、新規加入は認められません。
生活保護受給中に許容される範囲
生活保護受給中に許容される(してもいいこと)の範囲について、詳しく知りたいと考えている人もいるでしょう。してはいけないこと以外は、ほとんど制限がないといっても過言ではありません。許容される範囲はどこまでなのか、詳しく見ていきましょう。
・スマホを所有すること
・仕事をすること
・資格をとること
・具体的な理由のある貯蓄
・恋愛や結婚
・ペットの飼育
・お酒やタバコなど
・子育てや子どもの進学
・レジャー(旅行)
それぞれ詳しく説明します。
スマホを所有すること
スマホは1台であれば所有が認められています。
今は家の電話を置いている人も少なく、スマホで連絡をとる人が増えています。そのため、ケースワーカーや職場などとの連絡に使います。とはいえ、スマホの利用料金が追加で支給されるわけではありません。毎月の生活保護費から捻出しなくてはいけないので、払い続けられるかどうかです。
仕事をすること
生活保護受給中に仕事をすることもできます。収入を得たときは、速やかにケースワーカーもしくは福祉事務所に報告する義務があります。収入のすべてを保護費から差し引かれるわけではなく、必要経費など控除されるものもあるので確認しておきましょう。
資格をとること
就労するために資格を取得することは認められています。これは生業扶助にあたるもので、申請すると資格取得にかかる費用を受給できるようになります。授業料やテキスト代、検定費用なども対象になるため、87,000円が基準額として設定されています。
具体的な理由のある貯蓄
生活保護の貯金は認められないものの、具体的な理由がある場合は例外です。例えば、家具や家電が故障して修理が必要になったため、貯金をしているなど近い範囲で出費が決まっている場合は認められます。また、条件によっては扶助の対象になる場合もあるため、ケースワーカーに相談したうえで決めるのをおすすめします。
恋愛や結婚
恋愛や結婚は、生活保護受給中でも制限されることはありません。
交際している相手に収入があったとしても、金銭的な支援を受けていない場合は対象外となります。ただし、結婚し世帯が一緒になったときは生活保護受給対象外となってしまうことも考えられます。生活保護は世帯ごとに考えるため、最低生活費を満たしているかどうかで変わります。
ペットの飼育
生活保護でもペットの飼育について制限はありません。
なかにはペットを飼いながら生活している人もいます。また、受給後にペットを飼い始める人もいるなど、さまざまです。とはいえ、生活保護受給者は賃貸物件が多く、ペットの飼育を禁止されているケースもあります。もし、ペット可の物件に引っ越したいときは、自己負担で支払うことになります。
お酒やタバコなど
生活保護受給者の保護費から捻出しており、赤字になっていないのであれば制限の対象にはなりません。なかには、生活保護だとお酒やタバコは禁止だと勘違いしている人もいますが、生活保護法による決まりはありません。ただ、中毒性のあるものなので生活に市場が出てしまうときは、指導の対象になってしまうこともあります。
子育てや子どもの進学
生活保護受給者でも、子どもの進学を諦める必要はありません。
進学とは全く関係がないため、生活保護を受給していても進学できます。ただし、生活保護の場合、世帯分離の手続きを行い、親とは別世帯にすることで大学にも進学できるようになります。
生活保護の対象から外れ、国民健康保険に加入する必要も出てきます。また、扶助が減額となり、奨学金を使った進学が一般的です。進学に伴い必要なお金は「進学準備給付金」として支給されます。
レジャー(旅行)
生活保護受給者でも、レジャー(旅行)が禁止されているわけではありません。
海外旅行など遊興目的の旅行は、旅行した日数分が減額されることもあります。
ただし、冠婚葬祭や子どもの修学旅行、部活動の大会など、理由がある旅行の場合は、生活保護であっても認められます。
まとめ
生活保護でやってはいけない10のポイントについて、最低限の生活に必要なことかどうかが基準になります。してはいけないこと以外は、あくまでも生活保護費の範囲で贅沢品や資産にならないものであれば、できる可能性も高くなるでしょう。
隠して自動車やバイク、高級品を購入したところでバレたときに生活保護費が受給できなくなってしまうリスクがあります。
世帯や状況によっても変わってくる部分でもあるため、まずはケースワーカーに相談してから決めてください。
プロフィール

- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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