一人暮らしで生活保護を受給したいと、考えている方もいるでしょう。
ただ、一人暮らしだとどのくらい生活保護を受給できるのか、金額について不安に思っている人もいるのではないでしょうか。生活保護は最低生活費以外にも、必要に応じて支援制度も充実しています。
毎月の生活保護受給で受け取れる金額の目安について詳しく見ていきましょう。
一人暮らしでも条件を満たせば生活保護を受給できる
結論からお伝えすると、一人暮らしでも生活保護の受給は可能です。
そのため生活保護は、憲法第25条で定めた生存権を保障するための制度です。
受給する条件を満たしていれば、生活保護を受給することは可能です。
一人暮らしで生活保護を受給するための条件は以下の通りです。
・最低生活費よりも収入が少ない
・家族や親族から支援を受けられない
・病気や怪我などの理由で働くことができない
・年金や手当てを使っても生活できない
・不動産や預貯金などの資産がない
生活保護はいずれの条件も満たしていないと受給できません。
世帯単位で行われるようになるため、個人だけではなく全員の資産能力を活用しても、最低生活費に満たないときに受給できます。
また、3親等以内の親族より援助や支援が受けられない人や、疎遠な人でも状況に応じて受給可能です。
また、若い世代でも病気や怪我などの理由で働くことができない人が一時的に受給する場合もあります。条件に満たない人でも、生活保護を受給できる場合もあるため、福祉事務所に相談したうえで決めることをおすすめします。
一人暮らしの生活保護受給者の最低生活費とは
生活保護受給者の最低生活費は「生活扶助」+「住宅扶助」で計算されます。
生活扶助は世帯の人数や年齢、お住まいの地域によって決定されています。
具体的には、2つの扶助により構成されます。
Ⅰ類…食費をはじめ服などの個人消費を目的にしたもの
Ⅱ類…光熱費や家具家電などの全体の経費を目的にしたもの
それぞれ使用目的が制限されています。
住宅扶助は、自宅のアパートの家賃を支払うための費用です。
賃貸に住んでいる人に支給されるもので、6つの級地区によって分類されます。
住宅扶助は2種類の算式で計算した金額のなかで、大きなほうが採用される仕組みです。
一人暮らしの場合10万円~13万円が目安
一人暮らしの生活保護受給者の金額の目安は、10万円~13万円程度です。
実際に、広島県にお住まいのケースと、最も高い東京23区にお住まいのケースでどの程度金額に差が出てくるのか比較してみましょう。
広島県の高齢者の場合は、以下の基準となります。
第Ⅰ類45,060円+第Ⅱ類27,790円(生活扶助)+
特別加算1,000円+冬季加算1,096円+住宅扶助38,000円=112,946円
東京23区の場合は、以下の基準となります。
第Ⅰ類46,930円+第Ⅱ類27,790円(生活扶助)+
特別加算1,000円+経過的加算700円+住宅扶助53,700円=130,120円
東京都は13万円の金額が支給されていますが、広島県は11万円前後と2万円近くの差が出てくることがわかります。大きく変わってくるのが住宅扶助の部分になり、地域の家賃の差が金額に影響しています。
ただし、住宅扶助はお住まいのアパートの家賃以上は支給されない仕組みです。
そのため、上記で紹介した金額よりも、実際に受け取れる住宅扶助の金額が下がる可能性もあります。生活保護受給者は、家賃補助の上限以上の物件には住めません。
最低生活費は平等な生活を送るために地域によって変動する
生活保護の最低生活費は、一人暮らしでいくらと決められているわけではありません。
住んでいる地域に関係なく生活保護を受給しても、平等な生活を送れるようにするために変動しています。
そもそも、地域によっても物価や家賃相場が変わってくるため、最低生活費が異なります。
東京都は全国でも最も家賃が高い地域にあるため、他の地域と比較すると最低生活費が高く設定されているのです。
とはいえ、あくまでも家賃の支払のみとなり、他にかかってくる管理費や更新費などは含まず、自己負担での支払となる点は注意が必要です。
生活保護で利用できる支援制度
厚生労働省にて公表している、生活保護受給者が利用できる保護内容は8つあります。
支援制度 | 内容 |
生活扶助 | 日常生活に必要な費用で、食費や光熱水費の共通費用を合算したもの |
住宅扶助 | アパートの家賃、級地によって変わり、限度内の家賃を現物支給 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学費、限度内で支給 |
介護扶助 | 介護サービスを受ける費用、直接介護事務所に支払 |
医療扶助 | 医療サービスを受ける費用、直接医療機関に支払 |
出産扶助 | 出産にかかる費用、定められた範囲で現物支給 |
生業扶助 | 就労必要な技能を修得するための費用、定められた費用内で実費 |
葬祭扶扶助 | 葬祭にかかる費用を実費で支給 |
幅広い範囲の扶助が受けられることがわかると思います。
生活保護の受給者は医療扶助を受けている割合も多く、健康上の不安を抱えている人にとっても嬉しい扶助と言えるでしょう。
また、自立を促すためにも就労に必要な資格を取得するためにかかる費用も支給されます。受給者はケースワーカーに相談したうえで、受給したい扶助を相談するようにしましょう。
また、扶助だけでなく該当する場合は、加算項目もあります。
・介護保険料加算:第1号該当者に対して介護保険料相当額を加算
・妊産婦加算:妊娠中や、産後6か月以内の妊産婦に対して加算
・母子加算:ひとり親世帯に対して、二人親と同様の生活を保証
・児童養育加算:児童の養育者に対して健全育成費用を加算
・障害者加算:障碍者向けに居住環境を整える費用を加算
・介護施設入所者加算:入居者に対して裁量的な経費を加算
・在宅患者加算:在宅療養中の患者に栄養補給を目的にした加算
・放射線障害者加算:放射線による疾患者に栄養補給の経費を加算
加算が適用されると生活保護費が増えていきます。
例えば、障害者加算で1級・2級の場合26,310円が上乗せされます。
最低生活費が加算分も含めた金額になるため、健常者の方よりも受け取れる金額が増えることになります。
一人暮らしで病気療養をしていると毎月の金額が変わる?
一人暮らしをしている人のなかには、病気療養をしている人もいると思います。
基本的には受給できる金額が変わることはありません。病気療養で医療費が高額になっても、医療扶助が受けられ自己負担が発生しません。
そのため、実際に受給できる金額が増えているとも言えます。
また、病気療養で通院していることで、生活保護費の申請が通りやすくなる可能性も考えられます。病気や怪我の種類によっても異なりますが、精神疾患など見た目ではわかりにくい病気は、医師の診断書をもらうようにしておきましょう。
病気療養では受給金額そのものが大きく変わるわけではないものの、医療費の負担を減らせる点は生活保護受給者にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
一人暮らしで生活保護が受けられないこともある?
一人暮らしをしている人のなかには、自身に収入がないとしても生活保護を受給できなくなってしまうこともあります。具体的にはどのようなケースか詳しく見ていきましょう。
3親等の親族が高収入だと難しい
一人暮らしをしていて、受給希望者本人の収入が低くても受けられなくなってしまうことがあります。3親等以内の親族が高収入の場合、一時的に離れて生活する場合は生計を共にしていると見なされてしまいます。
一般的に一人暮らしをしている人は単身世帯として保護の要否判定をしています。とはいえ、生計を共にしている家族に十分な収入があると認められてしまった場合は、生活保護の受給が難しくなってしまう可能性もあります。
一人暮らしの予定でも実家に住みながら生活保護は難しい
現在は実家に住んでおり、一人暮らしを始めるタイミングで生活保護の受給を考えている人もいるかもしれません。
とはいえ、実家暮らしの状態で一人暮らしを目的に生活保護を受給することはできません。大学に進学するなどの正当な理由がある場合は、世帯分離の手続きを行い引越しは可能です。
親族よりDVや虐待の被害にあっているときは、世帯分離を行い生活保護の受給手続きを行うケースもあります。事情がある場合は、福祉事務所に相談し生活保護の受給対象になるかどうかを、確認してみるといいでしょう。
まとめ
一人暮らしでも条件を満たせば、生活保護の受給対象となります。また基本の扶助以外にも加算できる状態であれば、実際に支給される最低生活費の金額も増えることになります。
とはいえ、お住まいの地域によっても一人暮らしで受け取る生活保護費は変わってきます。家賃補助の上限も出てくるため、どの程度の金額になるかを福祉事務所に確認しましょう。
プロフィール

- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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