一般的に、式次第とは入社式や卒業式、結婚式などのイベントにおける進行表のことを指します。
式次第を用意することで、イベントの担当者だけでなく参加者も式全体の流れを把握できるので、特に大きなイベントでは式次第は必須となります。
葬儀においても、円滑に式を進めるために式次第を作成するのが一般的です。
では、式次第はどのように作成すればよいのでしょうか。
この記事では、葬儀の式次第の作成方法から、作成するポイントなどについて解説します。
式次第とは
改めて式次第について解説すると、式がおこなわれる順序のことを指し、式次とも呼ばれています。
式次第の由来は、行事や儀式(式)ごとには順序(次第)が必要となり、滞り行うための計画書のようなものを式次第と呼ぶようになったと言われています。
また、現代では式次第はイベントにおける順番が記載された書類のことを式次第と呼ぶ場合が多いです。
イベントを時間内にスムーズに進行をおこなうために必要となり、式次第があれば式に関わる人に限らず、式に参加する人全員がおおまかな内容や順番を事前に確認可能です。
会場で出席者が確認できるように掲示するケースや、出席者全員に手渡すなどの方法もあります。
会場で掲示する際には、なるべく大きく見やすく、簡素で理解しやすい表現と内容で開始から終了まで記すのが一般的です。
また、会議などの式典においては式次第、忘年会など会合などの場合は会次第と表記されます。
お葬式における式次第
仏式のお通夜における式次第としては、主に以下の順番で作成します。
- 参列者入場:遺族、ご親族、参列者が、式場に着席する
- 導師入場:儀式を司る僧侶が入場する
- 開式の言葉:主に葬儀業者が司会進行する
- 導師読経:僧侶の読経がスタートする
- 焼香開始:喪主より順次焼香する。タイミングや作法は事前に葬儀業者が案内する
- 導師退場:僧侶が通夜の読経を終えて退場する
次に、仏式の葬儀告別式の式次第は以下となります。
- 参列者入場:遺族や親族、参列者が式場に着席する
- 導師入場:儀式を司る僧侶が入場する
- 開式の言葉:葬儀業者が司会進行する
- 導師読経:僧侶の読経がスタートする
- 弔辞拝受:僧侶の葬儀式作法の後に関係者より弔辞を拝受する(お別れの言葉とする場合や省略される場合あり)
- 弔電紹介:希望に応じて司会者が本文や名前を数通読み上げて紹介する(省略される場合あり)
- 焼香開始:喪主より順次焼香する(タイミングや作法は事前に葬儀会社が連絡)
- 導師退場:僧侶が葬儀の読経を終えて退場する
- お別れ:棺にお花や愛用の品を入れて最期のお別れをする
- 参列者へのご挨拶:喪主より出棺前にあいさつする(喪主の代理者がおこなう場合がある)
- 閉式の言葉:司会が締めの言葉を述べて火葬場に向かう準備に移行する
- 出棺:身内の方を中心として火葬場へ向け出発する
- 火葬場到着:荼毘にふされて拾骨する
- 式場帰着:繰上げの初七日法要をおこなう
- 仕上げ・精進上げ:御膳を用意して親戚やお手伝いの方々を労いながら故人を偲ぶ
- 帰宅:遺骨を自宅に持っていき終了
なお、式次第については地域や風習などによって若干異なる場合があり、上記はあくまでも一般的な例となります。
式次第が必要になる場面
式次第が必要となる場合は、参列者などにどのような順序で葬儀を進めるかを周知したい場合です。
特に、特殊な葬儀の順序で執りおこなう場合、参列者がどのような流れで葬儀が進行するのかが不安になってしまいます。
そこで、式次第をあらかじめ用意することで周囲への不安を解消できる効果が期待できます。
また、式次第によって大まかな予定を明らかにすることで、出席する際の目安にできるメリットもあります。
式次第の構成
葬儀に限らず、一般的な式次第を作成する際の構成として、以下の3項目は必須項目となります。
- 祝賀会名
- 式のスケジュール
- 締めの言葉
祝賀会名とは、どのような式を開催するのかによって異なり、会社の創立記念日であれば「〇〇株式会社 創立記念祝賀会」などと記載する形です。
祝賀会名のあとに式次第と記載して、式のスケジュールを順番に記載してください。
スケジュールの前に数字を記載するのが一般的ですが、縦書きの場合は漢数字を用いましょう。
スケジュールを全て記載したら、最後に「以上」と記載して式次第が完成します。
式次第の作成方法
式次第の作成方法は、主に以下3つの方法があります。
- 手書きで作成する
- パソコンで作成する
- 業者に依頼する
各作成方法における詳細は、以下のとおりです。
手書きで作成する
手書きの式次第を用意する場合、薄墨を用いる形となります。
通常、葬儀が完了する前に作成する文書は、すべて薄墨を使用するのが通例です。
また、薄墨を使用するために筆を準備する必要があります。
必要なものが準備できたら、用紙に必要な項目を記載していきます。
パソコンで作成する
PCなどの電子デバイスを使用して、印刷用のデータを作成する方法もあります。
この場合、手書きのように文字色の濃淡は過度に気にする必要はありませんが、カラフルな色は避けて黒を使用してください。
もし、Wordなどの文書作成ツールを用いて作成する場合は、使用するフォント等で印刷の濃淡を設定できますが、デフォルト設定を使用しても問題ありません。
参列者が見やすい式次第であることが大切となり、インクが擦れて読み取れないといった事態だけは避けてください。
文書の構成は、式次第の見本となる画像やテンプレートなどが多数あるため、通行活用すれば効率よく式次第を作成できます。
業者に依頼する
式次第は、自分で作成するだけでなく葬儀業者や印刷会社などに依頼して作成する方法があります。
ただし、一般的な式次第と違って、葬儀の式次第は若干特殊であるため、基本的には葬儀業者に作成を依頼するのが一般的です。
葬儀業者とどのような順序で葬儀を執りおこなうのかを決定した上で、作成を依頼しましょう。
式次第を書く際のポイント
式次第を作成する際のポイントとして、以下をよく確認してください。
- 薄墨で書く
- [一]のみを使用して書く
- 式次第の内容・認識はすり合わせておく
- 宗派によってかき分ける
各ポイントの詳細は、以下のとおりです。
薄墨で書く
先に紹介したとおり、手書きで式次第を作成する際には薄墨を使用するのが一般的です。
これは、式次第に限らず葬儀が終了するまでの間に作成する文書すべてに該当し、代表例として香典などが有名です。
薄墨には、押し寄せる悲しみや苦しみから溢れた涙で墨が薄れてしまったであったり、予想だにしないできごとがあり十分な量の墨をする時間さえなかったという意味が含まれます。
故人を悼む思いを込めて、式次第でも薄墨を使用することが推奨されている状況です。
よって、式次第を手書きする場合は必ず薄墨を用いて作成してください。
「一」のみを使用して書く
式次第の作成方法として、それぞれの頭に連番を割り振ると説明しました。
ただし、これは一般的な式次第における作成方法であり、葬儀に関する式次第では漢数字の「一」を書くのが通例です。
「一」には、順序を示す意味はなく、ひとつという意味で使用されます。
葬儀の中で執りおこなわれることのひとつである、ということを表現しているのです。
式次第の内容・認識はすり合わせておく
式次第を作成する場合、喪主が作成するケースと葬儀業者が作成する場合があります。
どちらのケースにおいても、相互に内容や認識をすり合わせておくようにしましょう。
式次第は、参列者や司会進行をする人が、当日の流れを把握するために作成するものです。
もし、式次第の記載内容に誤りがある場合、参列者や司会進行する方に戸惑いや混乱が生じてしまう可能性が高いです。
また、喪主と葬儀業者に認識の違いがあると、葬儀を滞りなくおこなえない可能性があるので、事前整合をしっかりとおこなってください。
宗派によってかき分ける
葬儀の形式については、故人が信仰していた宗教により決定されるのが通例となっています。
葬儀の形式として、主に以下が有名です。
- 仏式
- 神式
- キリスト教式
さらに、故人が属していた宗派によっても、葬儀や式次第の内容が変化します。
よって、葬儀の形式をよく確認のうえで、誤りのないように注意して式次第を作成してください。
式次第の例文
ここでは、式次第の例文を紹介します。
始めに、仏式葬儀の一般的な式次第は、いかのようになります。
田中家 葬儀
○月○日 ○○ホール
一.参列者人場・着席
一.僧侶人場
一.開式の辞(司会者)
一.読経、引導
一.弔辞、弔電披露
一.僧侶焼香、読経
一.焼香
一.閉式の辞(司会者)
次に、告別式の式次第は次のようになります。
田中家 告別式
○月○日 ○○ホール
一.司会者開式の辞
一.会葬者焼香
一.僧侶退場
一.司会者閉式の辞
繰り返しとなりますが、宗派によって式次第の内容が異なるため、事前によく確認して適切な式次第を作成してください。
まとめ
葬儀を円滑に進めるためには、式次第の作成は必須です。
必ずしも自分自身で作成する必要はなく、葬儀会社に依頼することも可能です。
ただし、しっかりと内容を整合した上で、お互い合意の上で作成するようにしましょう。
社団法人蓮華では、式次第作成でお悩みの場合もサポートさせていただいていますので、お困りの場合はぜひご相談ください。
プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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