弔慰金封筒(不祝儀袋)の選び方を紹介|表書きの記入内容について

弔慰金は、正式には死亡弔慰金と呼ばれており、役員や従業員が亡くなられた際に勤務先企業が遺族に渡す金銭のことを指します。

役員や従業員だけでなく、その家族が亡くなられた際にも弔慰金を支払う企業が多いです。

普段、香典を渡す機会が多いものの、弔慰金を渡す機会が少なく、どのように渡せばよいのか悩むものです。

実際に弔慰金を渡す場合、弔慰金封筒に入れて渡すことになりますが、香典などと違うため注意が必要です。

では、弔慰金封筒はどのようにして選べばよいのでしょうか?

この記事では、弔慰金封筒の選び方や記入方法などを紹介します。

弔慰金と死亡退職金・香典との相違点

弔慰金は、先に紹介したとおり役員や従業員が亡くなられたケースで、勤務先の企業が遺族に渡す金銭のことです。

一方で、似たようなものとして死亡退職金があり、また一般的には故人に対しては香典を贈ることになります。

では、弔慰金と死亡退職金・香典にはどのような違いがあるのでしょうか?

ここでは、それぞれの違いについて紹介します。

弔慰金と死亡退職金との違い

弔慰金と死亡退職金については、両方ともに役員または従業員が亡くなられた際に、遺族に対して渡す金銭であることは一致しています。

ただし、弔慰金の場合は故人の功労を報いるという意味合いが強いものとなります。

一方で、死亡退職金の場合は本来であれば退職時などに受け取る予定となっていた退職金の代わりとなるものです。

要するに、弔慰金は故人に対してのもの、死亡退職金についてはどちらかといえば遺族の生活保障という観点で渡すものです。

また、正確には税務面においても弔慰金と死亡退職金には違いがあります。

支払う立場となる企業側からすると、弔慰金と死亡退職金は基本的には損金として算入可能です。

ただし、損金として算入できる可能金額は社会通念上妥当であると判断される金額の範囲内である場合に限定されます。

弔慰金の場合、亡くなられた原因が業務中であるのか、業務外であるのかにより非課税限度額は以下のように異なります。

業務中の場合 (賞与を除く)死亡時の月額給与 × 36か月分
業務外の場合 (賞与を除く)死亡時の月額給与 × 6か月分

また、受け取る側となる遺族の相続税が非課税となる範囲は、弔慰金と死亡退職金で以下のような違いがあるのです。

弔慰金 基本的には全額非課税となるが、非課税の限度額を超えると課税される
死亡退職金 法定相続人 × 500万円までは非課税

もし、弔慰金と死亡退職金が明確に区分できない場合は全額が死亡退職金となり、相続税の課税対象となるため注意してください。

弔慰金と香典との違い

弔慰金と香典は、両方ともに故人の遺族に対して渡すことになる金銭ですが、渡す目的や時期の違いがあります。

弔慰金の場合、先に紹介したとおり故人を弔いつつ遺族を慰める気持ちを表す意味があるため、企業が遺族に渡す形です。

一方、香典の場合は葬儀の参列者が喪主に対して渡して、霊前に供える金品の意味があります。

渡すタイミングとしては、弔慰金の場合は葬儀を執りおこなって遺族が落ち着いた時期に渡すことになるのに対して、香典は葬儀の当日に持参して渡すのが一般的です。

弔慰金を支給する場合のルール

弔慰金は、福利厚生の一環として支給されるものとなります。

弔慰金の支給自体は、義務化されていないため導入していない企業もあるのは事実です。

ただし、福利厚生としても有効な制度となり、魅力的な企業であることをアピールできる制度となるため導入を検討したいものです。

弔慰金を支給する場合には、弔慰金に関する規定を整備して弔慰金を用意するための保険に加入する必要があります。

弔慰金に関する規定を整備する

弔慰金を支給するための制度を作るためには、企業内で弔慰金に関する規定を整備しなければなりません。

企業として支払える限度額の目安として、課税対象となるかどうかがありますが、ただし金額を絶対に支払う必要があるわけではありません。

そこで、規定の中で企業の身の丈にあった金額を確実に支給する必要があります。

もし規定が存在しない場合は、従業員との間で齟齬が生まれて不満を与える可能性があるので注意してください。

企業内で規定を作成するにあたり、以下のようなステップで進めてください。

  1. 支給対象者の決定
  2. 弔慰金の支給金額の決定
  3. 手続きや必要書類を定める

支給金額は、非課税となる限度額を参考として、課税対象にならない程度の金額を設定しましょう。

また、業務外と業務内において企業に問われる責任が変化するため、金額に差をつけるケースが一般的です。

ただし、勤続年数や役職によって支給額に差をつけると従業員のモチベーション低下の要因となるため避けてください。

弔慰金を用意するための保険に加入する

弔慰金を支給する場合は金額が高額になるため、規定の内容に従って生命保険に加入するケースが一般的です。

保険金を活用すれば、複数同時に支給が必要になった場合などで、現金を確保できるメリットがあります。

弔慰金に関して有利な保険としては、総合福祉団体定期保険があります。

総合福祉団体定期保険に加入していれば、役員や従業員が死亡、または所定の高度障害状態となった場合に、企業が定める規定に従って保険金が支払われます。

企業側にとっては福利厚生制度の支給財源として効果的に準備可能となり、また福利厚生を充実させることができるため、従業員のモチベーションアップにつなげることが可能です。

弔慰金を入れる封筒を選ぶポイント

弔慰金は、そのまま現金を渡すことは失礼にあたり、通常は封筒に入れて渡す形が一般的です。

弔慰金を入れる封筒を選ぶ際には、基本的には不祝儀袋を選択するのが無難です。

不祝儀袋とは、通夜や葬儀、法事などの弔事において、金品を包む封筒のことです。

弔事の際に持参する金品のことは香典と呼ばれ、不祝儀袋のことを香典袋と呼ぶ場合もあります。

もし、急に参列が必要になって不祝儀袋を用意できないケースでは、白無地の封筒を使用しても問題ありません。

茶色や水色といった、カラフルな封筒はふさわしくないため注意してください。

一方で、白無地の封筒を使用する場合であっても、現金は中袋に収納して封筒に包んで外側の封筒には水引を付けてください。

弔慰金の封筒への入れ方

弔慰金を封筒に入れる場合、香典と同様にマナーがあるため、注意が必要です。

特に、以下のような点に注意して弔慰金を入れるようにしましょう。

  • お札は表面左側が上となるように収納する
  • 新札は使用しない
  • 渡し方で中身の入れ方を変える

各注意点について、解説します。

お札は表面左側が上となるように収納する

弔慰金を現金の形で渡す際には、一定のマナーがあり注意しなければなりません。

代表的なマナーとして、封筒を開いた際にお札の表側となるように入れる点です。

お札には裏表があり、お札の肖像がある面が表、描かれていない面が裏となりますので、肖像が描かれている表面が上となるように収納してください。

さらに、数字の向きにもこだわる必要があります。

封筒に弔慰金を入れる際には、お札を縦にして入れますが、この際に肖像が下、数字が上となるように入れてください。

新札は使用しない

弔慰金においては、香典と同様に新札を使用するのは避けるべきです。

これは、亡くなることを事前に予想していたと思われるためです。

もし、手持ちのお札が新札しかないケースでは、一度折り目を入れるなどしてから封筒に入れてください。

渡し方で中身の入れ方を変える

弔慰金は、現金で渡すだけでなく振込の形で渡すケースもあります。

現金で渡す場合は、先に紹介したとおり中袋の中にお札と目録を入れて直接渡してください。

水引の色は包む金額の大小で、以下のように変えるのが一般的です。

水引の色 金額
銀色のみ(双銀) 50,000円以上
黄白 10,000円~50,000円
黒白 1,000円~10,000円

5,000円未満の場合は、印刷した黒白の水引を使用しても問題ありませんが、それを超えるケースでは上記に従って水引を使用してください。

振込の形で渡す場合は、弔慰金としては目録を入れた不祝儀袋を渡しましょう。

目録は中入れと呼ばれており、実物ではなく商品名だけを記して贈るものとなります。

もし、振込み日と目録を渡す日が離れているケースでは、記入する日付は振込み日を記載してください。

弔慰金封筒に記入する内容

弔慰金封筒に記入する内容としては、場所によって以下となります。

弔慰金封筒の表書きの書き方

弔慰金の表書きには、現金で渡す場合と振り込みで渡す場合で異なります。

現金で渡す場合、表書きには弔慰金と書き、御香典や御霊前、御仏前などと記載しないでください。

また、振り込みで渡すケースでは、目録のみが入った封筒を渡すことになるため、表書きには目録と記入するケースが多いです。

弔慰金封筒の中袋の書き方

弔慰金の中袋については、中に包んだ金銭の金額を記入してください。

基本的には、旧字体の漢数字で書くのが一般的であり、算用数字で記入しないようにしてください。

具体的な記入内容は、以下のとおりです。

金額 記入内容
20,000円 「二万円」「弐萬円」「弐萬圓」
30,000円 「三万円」「参萬圓」「参萬圓」
50,000円 「五万円」「伍萬圓」「伍萬圓」
100,000円 「十万円」「拾萬円」「拾萬圓」
300,000円 「三十万円」「参拾萬円」「参拾萬圓」
1,000,000円 「百万円」「佰萬円」「陌萬圓」
2,000,000円 「二百万円」「弐萬円」「弐萬圓」

また、金額の上には「金」を、金額の下には「也」という字を記入する場合がありますが、これは必須ではありません。

弔慰金用の中入れの書き方

中入れは、弔慰金専用の不祝儀袋とセットとなっている場合が多いです。

もし、普通の不祝儀袋を使用する場合は、奉書紙などを使用してください。

中入れには、右の部分に弔慰金を書いて。その次に包んだ金額を大きく記載しましょう。

そして、弔慰金を渡す期日と会社の名前を書いて、一番左側には亡くなった方の氏名を記載します。

弔慰金の場合、会社が用意するものであるため、香典を渡す場合と違って個人の名前を書きません。

金額の書き方は、原則として旧字体の漢数字で記載してください。

薄墨みで記入するのが大原則

表書については、香典と同様に基本的には濃い墨ではなく、故人の死に際する悲しみで墨が薄くなったという意味を込めて、薄墨で書くことがマナーです。

弔慰金の渡し方

弔慰金は、企業から遺族に対して支給されるものとなりますが、具体的に誰に渡せばいいのか悩みがちです。

遺族といっても、故人との関係性として配偶者の場合もあれば、親や子供などさまざまなケースがあります。

誰に渡すのかについて、厳密な決まりはないものの、弔慰金規定には受取人の優先順位を定めるのが一般的です。

一般的な規定においては、弔慰金の受取人は配偶者とされるケースが多いです。

もし、配偶者が亡くなられているケースや離婚しているケースなどでは、受取人の対象が変化します。

具体的には、子や父母、孫などの血縁が近い方が受取人に設定されるのが一般的です。

実際に葬儀などの場で渡す際には、「この度は突然のことでお悔やみ申し上げます」や、「この度はご愁傷様です」、などの挨拶をおこなってください。

まとめ

弔慰金封筒は、香典とは若干異なるものの、基本的な同じような形で準備してください。

また、支給するにあたっては会社の規約などに基づく必要があり、不公平感がないように注意しましょう。

一般社団法人蓮華では、葬儀などに関する有益な情報をコラム形式で紹介しています。

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