隠居生活とは?意味・生活の例から必要な資金まで徹底解説
人生である程度やりたいことをやりつくした場合、隠居生活に入るという人がいます。
隠居とはある程度どのようなことかをイメージできますが、具体的にどのようなものかを詳細に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
では、隠居生活とは具体的にどのような意味があるのでしょうか。
この記事では、隠居生活の意味や、実際に隠居生活をしたい場合に必要となる資金などを紹介します。
隠居の意味
隠居とは、辞書では以下のような意味と解説されています。
1 官職・家業などから離れて、静かに暮らすこと。また、その人。民法旧規定では、戸主が生前に家督を相続人に譲ることをいう。「社長のポストを譲って―する」「御―さん」
2 俗世を離れて、山野に隠れ住むこと。また、その人。
3 江戸時代の刑罰の一。公家・武家で、不行跡などを理由に当主の地位を退かせ、俸禄をその子孫に譲渡させた。
以上は、あくまでも辞書における隠居の意味であり、実際には就いていた官職や家業などから離れて生活を送る場合に使用することが多く、隠退とも呼ばれています。
そもそも、中国や日本においては隠遁思想が根付いていますが、実際には異質な点が多く存在します。
具体的には、中国の後漢書や逸民列伝などにみられる隠遁は、仕官の場や官僚の世界を離れることを意味していました。
日本では、懐風藻などにおいて中国風の隠逸思想が垣間見えるものの、隠逸思想は未だに観念的なものだったと言われている状況です。
日本で中世的な遁世思想が成立したのは平安末期以降であり末法思想や出家思想、貴族社会の没落などを背景としており、宗教的な動機が大きく関与しているのです。
ここまでは、主に日本における隠居の意味を紹介しましたが、大まかなイメージとしては定年退職後の生活などを指す場合が多い言葉となります。
隠居の使い方
隠居の場合、先に紹介したとおり主に定年退職後などの生活をイメージして使用されることが多いです。
- 具体的には、以下のような使い方をされています。
- サラリーマンとして働いていた父が、定年を迎えた65歳で隠居した
- 母は、常々50代で隠居生活に突入して沖縄で暮らしたいと言っている
- 定年前に始めた私の隠居生活は、早いもので10年経過した
- お世話になっている叔父は、40歳で隠居するために準備を進めている
昨今、FIREを代表として定年を迎える前に早期に退職してしまうケースがありますが、隠居は大きく定年退職がきっかけとなる場合が多いです。
隠居と似た言葉
隠居には、比較的似た意味がある言葉が存在します。
代表する類似語は、以下の2つです。
- 引退
- リタイア(アーリーリタイア・セミリタイア)
各類似語との違いについて、詳しく見ていきましょう。
引退
引退とは、辞書においては以下のような意味があると解説されています。
役職や地位から身を退くこと。スポーツなどで現役から退くこと。
プロスポーツ選手以外でも、スポーツをおこなっている学生が最終学年となり、高校や大学受験、就職活動などで試合出場の機会がなくなり、クラブや部活動から離れる場合も引退と呼ばれるケースが多いです。
プロスポーツでは、事前に引退が予告されることがあり、その場合は引退試合とされることもあります。
軍隊の場合は退役と呼ばれ、本人が活動をやめる前に死去したケースでは引退と表現しません。
引退と隠居には、どちらも地位や役職から退くという意味がありますが、退くとは職業などを辞することです。
引退の場合は単に役職や地位を退くことを指す一方で、隠居の場合は役職や地位から退いて静かに暮らす意味も含まれます。
以上のように、隠居には静かに暮らすという意味が含まれているという点が大きな違いです。
リタイア
リタイアとは、辞書においては以下の意味があると解説されています。
1.競技の途中で棄権・退場すること。特に、自動車レースでの、事故・故障などによる棄権。
2.引退すること。定年退職。
スポーツにおけるリタイアは、レースなどで最後まで完走できない場合などが該当します。
また、人生においては引退することという意味があり、さらに定年退職そのものをリタイアというケースが多いです。
よって、先に紹介した引退と非常に似た言葉であると言えます。
なお、リタイアの中でも以下2つの言葉が多く用いられます。
- アーリーリタイア
- セミリタイア
各リタイアの違いは、以下のとおりです。
アーリーリタイア
アーリーリタイアとは、定年退職となる年齢を待たず、早期の段階で退職や引退を意味する言葉となります。
アーリーリタイアは「early retirement」を由来とした和製英語であり、早期リタイアとも呼ばれることは多いです。
日本では、高度経済成長期をきっかけとして、雇用と労働の安定性を重視した終身雇用制度が当たり前でした。
ただし、現代では長引く日本経済の低迷や働き方改革の推進によって、多彩な働き方に対する価値観が生まれているのです。
人生の大半を仕事に費やすのはもったいないと考えて、自由な時間を使いたいと考える人が増加したことで、アーリーリタイアがとても注目されています。
セミリタイア
セミリタイアは早期退職の一種であり、完全に仕事を辞める退職と違って、一定の収入を投資や仕事をおこないながら、自分の自由な時間を過ごすというライフスタイルを目指すことを指します。
やや引退した状態と言え、収入がある程度確保されているため、必要となる資産が少なくて済みます。
完全に引退するアーリーリタイアを実現するのは実に難しいものですが、セミリタイアであれば比較的実現しやすいため、多くの人が目指しています。
<H2>隠居生活の例
隠居生活の意味について改めて解説すると、勤めや事業といった公の仕事を退いてのんびりと暮らすこと、世俗を逃れて山野などに閑居することを指します。
よって、隠居生活では単に仕事を辞めて家で暮らすだけではなしえるものではありません。
隠居生活における例としては、頻繁に家族と旅行に出かけたり趣味に毎日のように没頭するなどが挙げられます。
また、都会に住んでいた方が隠居生活の場所として自然が広がり人とのふれあいを楽しめる田舎暮らしを始めるというのも該当するでしょう。
隠居生活に必要な資金
隠居生活の場合、単に定年退職で働かなくなるだけでなく、ある程度隠居生活する上で必要となる資金が必要です。
隠居生活する年齢によっても必要な資金が異なり、年齢別に以下の資金が必要となります。
隠居年齢 | 隠居後の生活費 | 必要資金 |
35歳 | 65歳まで:360万円×30年間 65歳以降:(300万円-年金収入180万円) × 25年間 |
1億3800万円 |
45歳 | 65歳まで:360万円×20年間 65歳以降:(300万円-年金収入200万円) × 25年間 |
9700万円 |
55歳 | 65歳まで:360万円×10年間 65歳以降:(300万円-年金収入220万円) × 25年間 |
5600万円 |
なお、上記シミュレーションの前提条件は、生活費の計算は90歳までとして、生活費は65歳までは年間360万円、65歳から90歳までを年間300万円として計算しています。
以上からも、実際に隠居生活するためには多額の資金が必要になることが分かります。
もちろん、セミリタイアする場合はより少ない資金で対応できますが、その分だけ完全に隠居とは言えない状況となってしまうのです。
まとめ
隠居生活は誰もが憧れるものですが、実際に隠居しようとしても意外と大変なことが理解できたかと思います。
ただし、最近ではFIREが定着しつつあるため、困難なものではありません。
もし、隠居生活を考えている人は社団法人蓮華までお気軽にご相談ください。
プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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