日本では、2019年度の厚生労働省の調査によると離婚件数は約209,000件発生し、婚姻件数は約599,000件となっており、単純に3組に1組の夫婦が離婚している状況です。
また、晩婚化が年々進んでおり、晩婚化や未婚化により少子高齢化が加速しています。
このような状況下で、晩婚ではなく熟年カップル同士が結婚するというケースも多いです。
熟年結婚する場合、メリットもあればデメリットもありますが、具体的にどのような理由で熟年結婚を選択するのでしょうか。
本記事では、熟年結婚のメリットやデメリットを紹介するとともに、熟年結婚をする理由や注意点を解説します。
熟年結婚とは?
はじめに、熟年結婚について解説すると、主に50代以降で結婚する大人同士の結婚のことを指します。
一般的に、お互いが50代以降であるカップルの結婚を熟年結婚と呼びますが、片方が50代以降でも熟年結婚と呼ぶ場合があります。
熟年結婚はオトナ婚とも呼ばれており、注目が高まっている状況です。
熟年結婚をする人の割合
熟年結婚する人の数は、21世紀に入ってから急増している状況です。
具体的には、2000年を境として2倍以上に増加しており、50代男性で約25,000人、50代女性で約10,000人 にまで増えています。
さらに、戦後の統計では50代の男女ともに5,000人弱であったのに対して、2010年代になると5倍以上に増えている状況です。
以上より、時代が経過すればするほど熟年結婚が増加しています。
熟年結婚をしたいと考える理由
熟年結婚が増加した背景としては、結婚観の多様化が挙げられます。
古くは、早くに結婚して子供を育てるという形が当たり前と考えられていましたが、昨今では年齢関係なく熟年結婚を検討する方が増加中です。
2020年代では、熟年結婚のハードルはより一層低くなっている状態です。
なぜ熟年結婚をしたいと考えるかと言えば、社会への不安が挙げられます。
物価高が続く中で、収入的に安定せず一人で生きて行くことに不安を覚える方が増えている中で、50代を過ぎても結婚できるチャンスがあれば結婚したいと考えている方が多いのです。
また、熟年同士での出会いの場が増えているという点も見逃せません。
結婚相談所では、熟年結婚をターゲットにしたサービスを提供している場合があります。
また、マッチングアプリの普及によって誰でも婚活できるハードルが低くなっている点もあるでしょう。
熟年結婚のメリット
熟年結婚を選択することにより、メリットが存在します。
特に、以下のような点が大きなメリットとなるケースが多いです。
- 孤独や不安が解消する
- 社会的な控除・民間の割引サービスが受けられる
- 経済的な余裕がある
- 家族や友人が安心する
各メリットについて、詳しく解説します。
孤独や不安が解消する
50代で1人暮らししていると、将来に対して不安を覚えてしまうものです。
特に、自分自身の健康に関する問題が表面化すると、誰が看護してくれるのかなどと不安になります。
そこで、熟年結婚すれば孤独や不安を解消できるメリットがあります。
さらに、男性の場合は独身のままでは食事や運動などを手抜きしがちですが、パートナーと一緒に管理したり楽しく取り組んだりすれば、健康を意識して充実した生活を送ることが可能です。
社会的な控除・民間の割引サービスが受けられる
熟年であっても結婚することで、社会的な控除を受けられるメリットがあります。
特に、世帯主の扶養に入ることで、税金が免除されたり減額されたりする点が魅力的です。
また、配偶者の社会保険に加入できるメリットもあります。
公営団地や市営住宅などに暮らせるようになる点も魅力的であり、少しでも安く良い住居を見つけたい場合にもメリットなります。
ほかにも、携帯電話会社で家族割が適用されるなど、各種民間サービスの割引を適用できる点も魅力的です。
経済的な余裕がある
60歳を迎えて定年退職すると、年金やそれまで蓄積した資産で生活する必要があります。
そこで、負担は少しでも軽減したいものですが、熟年結婚して一緒に生活を共にすれば、家賃や光熱費などの固定費を分担できます。
これにより、生活費を抑えることができる点が魅力的です。
また、食費についても1人分自炊するよりもより多くの人数分を自炊した方が、お得になるケースがあります。
家族や友人が安心する
ずっと独身生活を50代まで続けている場合、家族や友人が何かと心配するものです。
特に、親としては自分の年齢が70歳を超えて徐々に介護などが必要になると、なおさら子供が独身のままで大丈夫なのかと不安になってしまいます。
そこで、熟年結婚することで親としても安心するものです。
また、友人からも本気でパートナーを探してあげようと動く場合がありますが、熟年結婚することで余計な迷惑をかけなくて済むメリットもあります。
熟年結婚のデメリット
熟年結婚を考える場合、メリットだけでなくデメリットがある点も理解しなければなりません。
特に、以下のような点をデメリットとして捉えて、慎重に検討する必要があります。
- 周りの反対を受ける
- 生活環境が変化する
- 介護を気にしなければならない
- 遺産トラブルが発生する
各デメリットについて、詳しく解説します。
周りの反対を受ける
熟年結婚をしようとした場合、親や友人を安心させることができる場合もあれば、反対されるケースもあります。
特に、女性が50代を超えている場合は子供を授かれない場合が多いため、子孫を残すという意味で反対される場合が多いです。
また、逆に若すぎる相手と結婚する場合は、経済的な格差が多いと財産目当てであったり相続問題でトラブルに発展してしまったりすることを警戒され、反対されてしまいます。
熟年結婚を決意した経緯であったり、相手の方の人柄などを真摯に伝えたりしないと、反対されて結果として破談してしまうことになりかねないため、注意が必要です。
生活環境が変化する
50代の方が一人で生活するのに慣れてしまっていると、なかなか生活スタイルを変化させるのは難しいものです。
もし、熟年結婚して2人で生活を共にすることになると、お互いに生活スタイルを変化させなければなりません。
ある程度変化が少ない場合はまだしも、許容できない変化が発生すると結婚生活が苦痛に感じてしまいがちです。
その結果として、せっかく熟年結婚しても離婚してしまうケースも見られます。
介護を気にしなければならない
熟年結婚する年齢となると、親が70代以上となってしまいます。
すると、熟年結婚した後にすぐに親の介護が必要になるケースが多いです。
せっかく結婚しても、二人だけの新婚生活を送れないことを残念に感じる場合があります。
また、将来的にお互い老々介護しなければならない可能性もあるのです。
遺産トラブルが発生する
熟年結婚におけるもっとも翁デメリットが、相続問題です。
婚姻届を提出している場合、配偶者が法定相続人となり、遺産を相続する権利が得られます。
もし、妻と子供が1人いて遺産相続することになった場合、法定相続分は妻が2分の1で、子供が2分の1となります。
子供が2人いるケースでは、妻が2分の1、子供は2分の1からさらに半分となるため、4分の1ずつとなるのです。
離婚をした前妻との間に子どもがいるケースでは、現在の妻が2分の1、離婚をした前妻との間の子供に対して2分の1となります。
以上のように、家族構成などによって相続の範囲や取り分が異なるため、相続トラブルが発生しやすくなるのです。
遺言書が存在する場合、遺言書に従って遺産することになるため特に大きなトラブルには発展しませんが、明確に相続に関する遺言がない場合は注意が必要です。
熟年結婚をする前に注意すべきこと
実際に、熟年結婚をしようとした場合、前もって注意しておくべきポイントがあります。
特に、以下2つのポイントに注意してください。
- 2人で生活する資金があるか確認する
- 家族からの理解を得ておく
各注意点の詳細は、以下のとおりです。
2人で生活する資金があるか確認する
総務庁の調査によれば、60代独身の平均的な生活費は150,000円から160,000円と言われています。
上記はあくまでも平均であって、持ち家があるのか賃貸なのかによって大きく異なります。
また、地域などにより多少の違いが生まれがちです。
既に年金生活をしている方の場合、切り詰めてギリギリの生活を送っているというケースも多いです。
また、健康状態によっても生活費が変化することになるため、2人で生活する資金があるか確認しておく必要があります。
家族からの理解を得ておく
熟年結婚する場合は、家族からの理解を得たうえでおこなうことが重要です。
特に、年の差があるカップルが熟年結婚する場合は、財産や相続目当てと見られて反対されがちです。
よって、結婚することになったいきさつやどのような点に惹かれたかなどを家族に伝える必要があります。
また、独りはいかに寂しいものなのか、自分が相手といることでどのように幸せを感じているのかなどを伝えることも重要です。
まとめ
高齢化が進み、また晩婚化も進む中で熟年結婚も増加傾向にあります。
熟年結婚にはメリットもあればデメリットもあるため、良し悪しをしっかりと把握した上で検討する必要があります。
本記事で紹介した内容を参考に、自分だけでなく周囲も安心させるような熟年結婚を目指しましょう。
一般社団法人蓮華では、生活に役立つ情報をわかりやすく解説しています。
プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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