これで不動産相続が分かる 不動産相続における税金・登記まとめ

相続財産には、物や金銭などさまざまなものがありますが、家や土地といった不動産もその対象になります。

ただ、不動産の場合は相続する際に手間がかかることもありますが、今の世の中では不動産の処分についても困っているケースが多くなっているのはご存じでしょうか?

今回は、不動産に関する相続登記にまつわるお話とともに、不動産登記にかかわる法改正の話なども紹介します。

不動産相続とは

不動産の相続は、金銭に加え、貴金属、車、家電などといった物と違い、ただ単に相続したという風に取り決めしただけでは完了しません。

不動産を相続した際には、物や金銭とは違った手続きをしなければなりません。

不動産相続について、いったいどのような違いがあるのかをここから紹介します。

不動産の相続について

不動産の相続をする際には、単に相続人間でどの不動産を誰にどれだけ分けるのかということを決めるだけではいけません。

不動産の相続については、相続した結果を登記として反映することが求められます。

相続登記に関しては、法務局にてその結果を登記しに行かなければなりません。

手続きに関して等、さまざまな手順や費用が必要ですが、なかなか素人には分かり難くなっています。

不動産相続は、単に財産を相続するという手続きではないことに注意が必要です。

不動産の処分に関する相談は増加傾向

近年、不動産の処分に関する相談は増加傾向にあります。

元々、不動産というのは大きな財産になる傾向もあり、親族間でその相続について揉めることが多くありました。

不動産を売却することや、不動産を共有にするのか、家が残っている場合にはそこに住むのは誰なのかといったような相談は昔からよくありました。

しかし、近年では被相続人が持っていた土地から離れて生活していることなどから、そもそもを相続したくないケースや古い建物をどうするか、利用しない土地を相続しても売れないといったことも多いです。

ライフスタイルの変化や土地そのものの価値の低下、かえって負債になるといった問題が新たに浮上しています。

そこに、新たに不動産登記を義務化するという改正も加わって、不動産相続は以前より相談する人が増加傾向です。

不動産登記にかかる費用や方法

不動産登記には一定の手続きが必要なものなので、その際にかかる費用や書類について重要となってきます。

意外にも費用が掛かる場面も多く、必要な書類を集めるのはかなり大変です。

ここからは、不動産登記にかかる費用や必要書類、方法などについて紹介します。

不動産登記にかかる費用や方法

不動産の登記はどうすればいい

不動産の相続登記に関しては、法務局に相続した旨の登記が必要です。

相続登記を法務局にするためには、一定の必要書類を揃えなければならず、そのためには相続人間で協力する必要があります。

相続登記は一般の方には難しいため、司法書士といったプロの専門家の方に依頼する方も多くいる手続きです。

もちろん、プロに依頼すれば登記に関する手続きがすべて完了するわけでもないので、不動産登記というのは手間のかかる性質を有しています。

なので、相続における不動産登記に関しては、どのような手続きを行うのかをあらかじめ知っておくことが必要です。

不動産登記に必要な書類

不動産登記に必要な書類は幾つかあります。

書類をすべてそろえるまでに、相続人間の協力や役所等に書類を確保することが必要です。

どのような書類を集めるべきかについて、一般的には下記のものを用意してください。

  • 登記事項証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
  • 相続関係説明図
  • 固定資産評価証明書
  • 相続登記申請書

引用 【相続ケース別にみる】相続登記に必要な書類は? 取得方法と主要書類について解説 | 相続税の申告なら相続専門税理士法人レガシィ【公式】 (legacy.ne.jp)

書類に関してはかなり多く、何処でどう集めるのかも複雑になっています。

自力でやるにしても、事前にどうすればいいのかの下調べは必須であり、大変な作業です。

困ったときには、プロの方に書類作成から書類集めまでしっかりと頼みましょう。

不動産登記に必要な費用

不動産登記に必要な費用に関しては、司法書士に依頼するしないにもよりますが、幾つか費用が掛かります。

一般的な手続きで掛かる費用については次の通りなので、参考にしてください。

  • 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 1通450円
  • 除籍謄本(除籍全部事項証明書) 1通750円
  • 改製原戸籍謄本 1通750円
  • 戸籍の附票の写し 1通300円
  • (除)住民票の写し 1通200~300円程度
  • 印鑑証明書 1通200~300円程度
  • 固定資産評価証明書 1通200~400円程度
  • 登録免許税 土地・建物の価格の1000分の4

※法定相続人でない人が遺贈を受けた場合には1000分の20

参考:相続登記にかかる費用は? 司法書士報酬、必要書類の取得費用、税金を解説 | 相続会議 (asahi.com)

各書類を取り揃えるのにもお金がかかりますし、最後に相続をする際の登録免許税もそこそこの値段がかかります。

また、司法書士の方に依頼をすると、土地の数にもよりますが、一般的には5〜15万円程度の報酬がかかるとされていますが、司法書士の方に直接見積もりを取ってもらった方が確実です。

相続税だけではなく、相続のための手続きにもいろいろとお金がかかりますので注意してください。

必要な書類がそろい、必要事項も記入ができたら後は法務局に提出するだけです。

登記に困ったときには

自分ですべての手続きを完了させるまでには、かなり複雑で面倒なのが不動産登記です。

登記を相続人だけでやるには大きな手間がかかり、下手に登記申請をしても、登記所から補正や却下といった返答をされて余計な手間がかかります。

どうしても自力でやるのが難しいとなったら、司法書士といった登記のプロの方に不動産の相続登記を依頼してください。

司法書士の方なら、登記関連の手続きもスムーズに行っていただけますし、書類作成から相続の際のアドバイスまで、さまざまなサービスを提供してもらえます。

相続人間でのいざこざがあったとしても、相続まで至れる問題解決にも役立ちますので、相続登記について困ったことがあれば相談してみてください。

司法書士以外にも、法務局でも書類作成などのアドバイスをもらうことができます。

不動産売却における特例

不動産を相続する際に、古くなった実家などにもう住むことはない場合も増えています。

そういったときには、建物と土地を売却するという選択もありますが、相続の際には条件を満たすと特例措置を受けることが可能です。

不動産売却における特例の種類について、ここからは紹介します。

不動産売却における特例

自己居住用財産を譲渡した際の特例

この制度は、個人がマイホーム(居住用財産)を売却するなどの要件を満たした場合に、譲渡所得から最高3000万円まで控除される制度です。

相続人が受け継いだ被相続人の居住用財産に関しては、売却したときに控除される可能性があります。

しかし、この制度については条件が厳しく、特に居住用財産であるかどうかの判定には注意が必要です。

例えば、実家を相続はしたものの、相続後に住んでいなくてずっと空き家だった場合には、この制度の適用はありません。

相続した空き家を譲渡した際の特例

相続した住居が空き家だった場合には、売却した際に一定の要件を満たすときに、譲渡所得から最高3000万円まで控除できる制度を利用できます。

ただし、先に紹介した自己居住用財産の譲渡と違い、条件は下記の項目をすべて満たす必要があります。

  • 売主が、売却する建物・敷地の前所有者(被相続人)の相続人または包括受遺者であること
  • 売主が、被相続人の住んでいた建物(母屋)とその敷地の両方を相続または遺贈により取得したこと
  • 売主が、その建物・敷地の売却について過去にこの制度を適用していないこと
  • その建物が、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたものであること
  • その建物が、区分所有建物(マンション等)でないこと
  • 被相続人が、相続開始の直前において、その建物に1人で住んでいたこと
  • 買主が、売主の親族等でない第三者であること
  • その家屋・敷地の売却時期が、相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間、かつ、制度の適用期間である2023年(令和5年)12月31日までの間であること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 相続開始の時から売却時まで、事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていないこと
  • その建物が、売却時に耐震基準に適合していること

引用:相続した不動産を売却 かかる税金は? 特別控除をどう使う? | 相続会議 (asahi.com)

条件がかなり多いので、これをすべて満たしているかどうかはしっかりと専門の方に確認しておいた方が分かりやすいかと思われます。

相続した不動産の売却による特例制度

その他にも、不動産の売却には取得費加算の特例というものがあります。

これは、相続で取得した土地や建物、株式などを言った特定の財産について、一定期間内に譲渡した際には、相続税の一部金額を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。

譲渡所得のみにしか適用されませんが、これによって税金を減らすことが可能です。

利用できるのは、相続開始の翌日から相続税申告期限の翌日以後の3年以内に譲渡することが条件となります。

不動産相続の登記義務

不動産登記に関しては、法改正が行われたため相続の際にも登記義務があることが明記されました。

相続登記をしないことでこれからは相続人にも不利益が生じる可能性があります。

今回、改正された法律について具体的にどんな内容なのかや、どうして制定されたのかを見ていきましょう。

不動産相続に関する規定の改正

不動産相続に関する規定の改正はいくつか行われており、その中でも特に注目されたのが、令和6年4月1日から不動産の相続登記の申請が義務化されたことです。

今までは、相続登記に関してはしなくても放置されていましたが、これからはやらなければなりません。

意外にも該当する方はかなり多くいますので、いろいろな人がその対象になるでしょう。

「私はそういったことには関係ないだろう」と思っていると、ある日法務局から通知が来るかもしれません。

なぜ、規定は改定されたのか

法律を改正した理由としては、所有者が現在不明となっている土地について、所有者をしっかりと判別するために必要だからです。

例えば、所有者がわからない状態ですと、土地の所有者から土地を購入することができないだけではなく、その土地に公共施設や道路を設置したいと思っていても、それができないことがあります。

現在、所有者不明の土地というのは九州地方の面積よりも広いと言われており、土地所有者の把握に力を入れないといけないのが大きな事情です。

なので、誰が土地を持っているのかをしっかりと把握するために、これから相続登記は力を入れていくということとなっています。

なぜ、規定は改定されたのか

登記義務違反とその対策

相続登記が義務化されたということで、登記義務違反には罰則が追加されています。

罰則に関しては、相続財産を登記していない場合には、相続財産があるのを知ってから3年以内に登記しなければ、10万円未満の過料を課せられます。

ただし、経済的に困窮している場合や登記をする手続きをしたくても、相続関係が複雑になっていて調査が難しい場合には適用されません。

また、法律が施行された後だけではなく、法律が施行される前に相続登記をしてこなかった部分に関しても適用されますので、ずっと登記されずにほったらかしになっている土地・建物にも注意してください。

場合によっては数次相続になっている土地・建物もあるため、そういったときには弁護士や司法書士の方に、相続の流れをしっかりと調査してもらうようにしてください。

まとめ

不動産相続についてここまでまとめてきましたが、不動産を相続した際には、金銭などとは違った方法で相続しなければなりません。

登記の方法や、今後相続時に登記をしないとどうなるかを、今一度まとめてみてみましょう。

不動産相続は放置しないように

不動産を相続した際には、そのまま放置しないようにしてください。

特に、不動産の相続登記をしなかった場合には、場合によっては過料を支払う義務があるだけではなく、登記していなくて長い時間がたってしまうと、相続登記自体が複雑かつ難しくなります。

早いうちに相続登記を完了させることで、誰に財産が移ったのかをしっかりと把握できるようにし、不動産を有効活用できるような形にしやすくするのが肝心です。

不動産の売却や譲渡は有効に活用しよう

また、相続税対策として、不動産の売却時や譲渡時に特例適用できる可能性があります。

特例の内容によっては条件がかなり厳しいですが、適用されればかなり大きな額の税金を支払わなくてよくなるので、相続した不動産を手放すのなら有効に活用しましょう。

これから被相続人が住んでいた建物について、相続人が住む可能性がない場合や、複数人で共有する形で相続することがますます増えてきます。

これからの時代に活用しない不動産を有効に活用するためには、こういった知識を取得して活用するのも大事です。

家や土地を処分する際に話し合うことについて

ここまで、相続のための登記手続きや処分方法、税金対策などの話をしてきましたが、最終的には家や土地を処分するのは相続人がしっかりと話し合って決めることです。

不動産に関して最終的にどのように処理をするのかで、税金の支払いから財産の公平な分割までさまざまなことが決まります。

処分の際にもめてしまうと、相続財産がいつまでたっても処理できず、不動産の相続だけでも登記義務違反や権利関係の複雑化など様々なリスクを負ってしまいます。

なので、しっかりと相続人間で不動産についてどうするかを話し合って、円滑に処理できるようにしてください。

どうしても困ったときには、専門家の方に相談して、相続財産の分割案を決めてもらうなどしてみましょう。

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