忌引き証明書は必要?もらい方や使用するまでの流れについて解説

身内が亡くなられた場合、葬儀などの準備が必要となります。

そこで、多くの企業や学校では忌引きと呼ばれる、葬儀に出席するなどの目的で会社や学校を休める制度が用意されています。

特に企業では、忌引き休暇という形で特別休暇が与えられる場合が多いです。

もし、悪意ある社員や学生が親族が亡くなったと虚偽の報告をして忌引きを取る場合、証明すべき手立てがないと真偽が立証できません。

そこで重要となるのが、忌引きであることを証明する忌引き証明書の存在です。

実際に、企業や学校において忌引き証明書を入手する必要があるのでしょうか?

この記事では、忌引き証明書の入手方法や使用するまでの流れについて解説します。

忌引き証明書とは?

始めに、忌引きについて改めて解説すると、近親者が亡くなられた場合に仕事や学校を休んで、忌中や喪中に入ることを指す言葉です。

忌引きは、一般的には休暇制度として認識されているケースが多いですが、正確には故人のことを悼んで喪に服するために設定される期間のことです。

忌引となる日数については、就業規則などの労働条件により個別に設定されますが、以下の日数が設定されている場合が多いです。

関係 忌引き日数
配偶者 10日間
父母 7日間
5日間
祖父母 3日間
兄弟姉妹 3日間
おじ・おば 1日間
1日間
配偶者の父母 3日間
配偶者の祖父母 1日間
配偶者の兄弟姉妹 1日間

忌引きに対して休暇を与える側からすれば、本当に忌引きに該当するのかどうかを判断したいものです。

特に、企業側にとっては忌引き休暇は有給休暇と同様の扱いとなる場合があるため、真偽の程を確認するケースがあります。

そこで、確認方法として使用されているのが忌引き証明書となります。

忌引き証明書とは、一般的にな解釈としては該当者が学校や会社を休んだ際に、その休みの理由が人が亡くなったことに起因していると証明できる書類のことを指す場合が多いです。

一般的な解釈と強調しているのは、忌引き証明書は証明書という名称ではあるものの、公的書類ではなくその解釈は企業や学校により異なるためです。

忌引き証明書は、端的に言えばずる休みでないことを証明するための書類とも言い換えることができます。

忌引き証明書が必要になるケース

忌引き証明書は、企業が学校で必須となるわけではありません。

忌引きの連絡自体は、メールや電話でおこなうことができ、労働者の場合は有給休暇により休暇を取ることができます。

また、忌引き休暇自体が法律に定められたものではなく、あくまでも福利厚生の一環という位置付けで提供されているのです。

では、忌引き証明書が必要になるケースには具体的にどのような場合があるのでしょうか?

ここでは、忌引き証明書が必要になる各ケースを紹介します。

会社・学校を忌引きで休むとき

忌引き証明書が必要になるケースとしては、やはり会社や学校を休む場合です。

会社の場合、有給休暇の制度で休暇を取ることができますが、学校の場合はそのような制度がありません。

また、学校の場合は学力テストの成績だけでなく、普段の生活態度が生徒の評価対象となっています。

この評価によって内申点が決められるため、学校を休んだ場合に明確な理由がないとずる休みしたと疑われて内申点が下げられる可能性があるのです。

よって、学校側が忌引きによる休みであるかを判断するために、忌引き証明書を要求する場合があります。

ただし、繰り返しになりますが必ずしもすべての学校で忌引き証明書が必要になるわけではありません。

慶弔見舞金などの福利厚生を利用するとき

慶弔見舞金とは、従業員や従業員の家族に祝い事や不幸があった場合に支払われるお金のことを指します。

慶弔見舞金には、祝い事や不幸により、以下のような種類が用意されている場合が多いです。

種類 内容
結婚祝い金 従業員が結婚した際に支給されるお金
出産祝い金 従業員またはその配偶者が出産した際に支給されるお金
死亡弔慰金 · 従業員が死亡したときに遺族に支給されるお金

· 従業員の家族が死亡した場合に本人に支払われるケースもある

傷病見舞金 従業員が傷病を理由に休業した際に支給されるお金
災害見舞金 従業員が災害によって被害を受けた際に支給されるお金

慶弔見舞金などの福利厚生を利用する際には、その証明となる書類が必要になる場合が多いです。

弔慰金を申請するとき

従業員の身内が亡くなられた場合、上司や同僚が参列するだけでなく、香典や御花を寄せたりする場合もあります。

この場合、会社から香典や御花が用意されているため、その証明となる忌引き証明書を求める場合が多いです。

忌引き休暇に証明書は必ず必要?

先に紹介したとおり、忌引き休暇に証明書とは公的な文書ではありません。

様式などもまちまちであり、後述しますが名称も微妙に違うのです。

よって、忌引き休暇に証明書は必ず必要となるわけではありません。

ただし、学生の場合は自分が正当な形で休みを取りたいことを証明したい場合には相応の書類の準備が必要です。

また、会社の慶弔見舞金などのお金が関連する場合には必要とされる場合があります。

忌引き証明書に該当する書類ともらい方

繰り返しとなりますが、忌引き証明書という名称の書類は存在しません。

忌引きを証明する書類という意味では、以下のようなものが使用される場合が多いです。

  • 葬儀施行証明書
  • 葬儀の案内はがき
  • 会葬礼状
  • 死亡診断書のコピー
  • 火葬許可証・埋葬許可書のコピー

各書類の概要や、入手方法について紹介します。

葬儀施行証明書

葬儀施行証明書とは、葬儀社が発行している、葬儀を執りおこなったことを証明する書類のことです。

葬儀を担当した葬儀社が、葬儀を執りおこなったことだけを証明する書類となり、法的な効力は一切ありません。

葬儀社によっては、葬儀施行証明書以外にも、葬儀証明書や葬儀執行証明書という名称で呼ばれているケースもあります。

葬儀施行証明書には、以下の内容が記載される場合が多いです。

  • 故人の名前
  • 喪主の名前
  • 葬儀や火葬が執りおこなわれた日
  • 葬儀が執りおこなわれた場所
  • 葬儀を施行した葬儀社名
  • 葬儀社の押印

葬儀施行証明書は葬儀社が発行する書類となるため、必要な場合は葬儀社へ依頼してください。

依頼方法については、電話での依頼もしくは葬儀場で直接伝える方法があります。

ただし、すぐに発行してもらえるわけではないため、入手したい場合は早めに依頼するようにしましょう。

葬儀の案内はがき

葬儀の案内はがきは、故人が亡くなられた事実と葬儀などの情報が記載されています。

具体的には、以下のような内容が記載される場合が多いです。

  • 故人の名前
  • 故人の享年
  • 逝去した日と時間
  • 喪主名
  • 葬儀の日程や葬儀会場が決まっている場合はその情報

葬儀の案内はがきには、葬儀の情報などが記載されているため、忌引き証明書として活用可能です。

葬儀の案内はがきは、基本的に自宅などに郵送されますので、大切に保管してください。

会葬礼状

会葬礼状とは、葬儀に参列してくれた方に対して、感謝の意を伝える礼状のことです。

会葬礼状には、主に以下の内容が記載されています。

  • 会葬に対するお礼の言葉
  • 故人の名前
  • 通夜・葬儀の日付

通夜や葬儀に参列することを会葬と呼ぶ関係上、会葬礼状と呼ばれています。

故人の名前や葬儀の日時が記載されているため、忌引き証明書としても通用します。

死亡診断書のコピー

死亡診断書とは、人が亡くなられたことを医学的に証明する書類です。

死亡診断書には、主に以下2つの意味合いがあります。

意味合い 詳細
人間の死亡を医学的・法律的に証明する 人の死亡に関する厳粛な医学的・法律的証明であって、死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表している。死亡診断書の作成に当たり、死亡に関する医学的、客観的な事実を正確に記入されている。
死因統計作成の資料となる 死因統計とは、国民の保健や医療、福祉に関する行政の重要な基礎資料として役立てられる。また、医学研究を筆頭に各分野においても貴重な資料となっている。厚生労働省では、我が国の基幹統計である人口動態統計として公表している。

個人単位では、人間の死亡を医学的や法律的に証明している点が魅力的であり、忌引き証明書として通用します。

死亡診断書は原本ではなく、コピーを提出しても問題ありません。

もし、コピーを取り忘れた場合は再発行が可能なため、病院で手続きしてください。

ただし、再発行を請求できるのは、配偶者や三親等以内の親族に限られている点に注意が必要です。

火葬許可証・埋葬許可書のコピー

火葬許可証とは、故人の遺体を火葬する許可を証明するための書類となります。

火葬許可証がない限り、火葬ができないため葬儀の前には必ず取得する必要があります。

役所に死亡届を届け出る場合、火葬許可証発行の申請も同時におこなう形が一般的です。

死亡届が受理されたら、火葬許可証が発行されることになります。

埋葬許可証とは、お墓に納骨したり埋葬したりする際に必要な書類のことです。

埋葬許可証は火葬許可証に火葬場の認印が押されたものとなり、墓地墓苑関係者から提出を求められます。

火葬許可証・埋葬許可書についても、忌引き証明書として使用でき、コピーを使用しても問題ありません。

忌引き証明書を提示するまでの流れ

忌引き証明書を提示するまでのステップとしては、以下のような形となります。

  1. 口頭で忌引きの連絡をする
  2. 業務の引継ぎを行う
  3. 出社時にお礼を伝える
  4. 忌引き証明書を提出する

各流れについて、詳しく解説します。

口頭で忌引きの連絡をする

特に個人との関係が深い場合、病院などで死期を看取る場合が多いです。

亡くなられたことを病院などで知った場合、まずは電話などで忌引きの連絡をおこないます。

メールやSNSなどで連絡する場合もありますが、連絡する相手との関係性を考えて最適な方法を採用してください。

また、会社にいて電話連絡で亡くなられたことを知った場合は、口頭で上司などに忌引きの連絡をおこないましょう。

業務の引継ぎを行う

忌引きの日数は、先に紹介したとおり相手との関係性によって異なります。

もし、配偶者が亡くなられた場合は10日程度休暇を取る場合もあります。

会社員の場合、その期間は当然仕事ができない状態となるため、場合によっては同僚などに仕事をカバーしてもらわなければなりません。

そこで、限られた時間の中で業務の引き継ぎをおこなってください。

ただし、上司から引き継ぎなど不要でありすぐに忌引きに入るように配慮してもらえるケースもあるため、引き継ぎが必須となるわけではありません。

出社時にお礼を伝える

忌引き期間が明けたら、会社に通常通り出社することになります。

このタイミングで、香典をいただいた方に香典返しをおこなう形が一般的です。

また、すでに香典返しをしている場合や香典をいただいていない場合でも、出社時に仕事をカバーしてもらったことに対して、お礼の言葉を伝えてください。

忌引き証明書を提出する

会社に出社して一通りの挨拶を終えて、落ち着いた段階で必須ではないものの、忌引き証明書を提出します。

慶弔見舞金などの福利厚生のために忌引き証明書を提出する場合、指定の申請書を作成しなければならない場合もありますので、準備が必要です。

忌引き証明書で取得できる休暇日数

忌引き証明書で取得できる休暇日数としては、会社によって異なります。

これは、法律などで忌引きに対して休暇を与えなければならないなどの決まりがなく、あくまでも福利厚生の一環として制度が存在しているだけのためです。

忌引き証明書で取得できる休暇日数については、以下が参考となりますが自社の忌引きに関する決まりをよく確認してください。

関係 忌引き日数
配偶者 10日間
父母 7日間
5日間
祖父母 3日間
兄弟姉妹 3日間
おじ・おば 1日間
1日間
配偶者の父母 3日間
配偶者の祖父母 1日間
配偶者の兄弟姉妹 1日間

また、対象範囲についても微妙に異なり、あくまでも上記は一般的な例になる点に注意が必要です。

忌引き休暇を取得する際の注意点

忌引き休暇を取得する場合、注意すべきポイントがあります。

特に、以下のような点に注意して忌引休暇を申請してください。

  • 会社に対して早めに連絡を取る
  • 忌引きの連絡は口頭で伝えるようにする
  • 会社によって忌引きの扱いが異なる
  • 土日も忌引き休暇期間に含まれる

各注意点について、詳しく解説します。

会社に対して早めに連絡を取る

忌引き休暇は、長期にわたる場合が多いため、会社側としても不在になることによるリスクがあります。

そこで、忌引きになる事実が発覚した時点で、即座に不在時の対応を決めておきたいものです。

よって、忌引きになることが分かった時点で、会社に対して早めに連絡を取ってください。

忌引きの連絡は口頭で伝えるようにする

忌引きの連絡は、様々な手段で伝えることができますが、口頭が原則です。

これは、メールやSNSなどで伝える場合は確実に伝わったかどうかを把握しにくいためです。

早朝や深夜の場合は、電話連絡を取るのも失礼に当たるためメールやSNSで伝えても問題ありません。

ただし、伝達ミスなどを考えると翌日電話などで忌引きになることを改めて伝えましょう。

会社によって忌引きの扱いが異なる

繰り返しになりますが、忌引きは実は労働基準法には特に規定をされていません。

労働基準法で定められている休暇は、以下のみとなります。

  • 一週一休の原則
  • 産前産後休暇
  • 生理休暇

ただし、各会社では忌引きを福利厚生の一環として提供していますが、その期間は社会通念を考慮して設定されている場合が多いです。

よって、会社によって忌引きの扱いが異なるため、よく確認が必要です。

土日も忌引き休暇期間に含まれる

忌引き休暇の日数は、一般的に亡くなられた後の手続きにかかる時間や、葬儀を執りおこなうまでの機関などを加味して設定されます。

例えば、週末をはさむ形で葬儀などを執りおこなう場合、それも忌引き期間に含まれるのです。

要するに、土日も忌引き休暇期間として含まれると解釈する会社が多いため、もし土日が休日となる会社であっても、休日と忌引き休暇が重複して消費される形となります。

よって、金曜日から日曜日まで3日間が忌引き期間になると、土曜日と日曜日も忌引き休暇となり月曜日と火曜日に繰り越すなどの対応はできないので注意してください。

まとめ

忌引き自体が、法律上で付与が義務付けられたものではなく、あくまでも福利厚生の一環として休暇が与えられる場合が多いです。

よって、明確な決まりがないものの、多くの会社や学校で付与されています。

今回紹介したように、場合によっては忌引き証明書が必要なる場合があるため、会社や学校の決まりをよく確認して適切な対応を図ってください。

一般社団法人蓮華では、葬儀などに関するお役立ち情報をお届けしていますので、ぜひ参考にしてください。

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