命日とは、人が亡くなった月日のことを指し、忌日と呼ぶ場合もあります。
命日には、様々な行動をとる必要がありますが、中には行ってはならないことも多いです。
特に、マナー違反となるような行動は絶対に慎むべきであり、注意しなければなりません。
では、命日には具体的にどのようなことをおこなってはならないのでしょうか?
この記事では、命日について解説すると同時に、取るべき行動とやってはならない行動を紹介します。
命日とは
命日について改めて解説すると、人が亡くなった日のことを意味し、忌日と呼ばれるケースも多いです。
命日については、故人を偲ぶ日とされているのです。
よって、親族や友人が集結して故人を弔うことになります。
なお、先に紹介したとおり命日は祥月命日とも呼びますが、さらに月命日とも呼ばれることがあります。
それぞれの意味については、以下のような違いがあるのです。
祥月命日
祥月命日とは、故人が亡くなられた「月日」を指しており、年に一度しかありません。
祥月には亡くなられた方の一周忌以後に訪れる死亡月を指しており、命日は亡くなられた日を示し、合わせて祥月命日となるのです。
例えば、2011年6月20日に逝去された場合、2012年以降は毎年6月20日が祥月命日となります。
命日はあくまでも亡くなられた日のことであり、翌年以降の亡くなられた月日は祥月命日ということになります。
祥月命日には、以下のような由来の諸説があります。
正月命日だと正月と混同してしまうため「正」ではなく「祥」を使用した
故人が逝去してから13ヶ月目に執りおこなわれる祭事を小祥忌、25ヶ月目の祭事は大祥忌と表しており、亡くなられた月を「祥月」と呼んでいた
月命日
月命日は、故人が亡くなった日を指し、月に一度巡ってきます。
月命日は別名で月忌とも呼ばれており、故人が亡くなられた日の翌月から始まります。
初めて迎える月命日のことを初月忌と呼び、他の月命日と比較しても丁重に供養をおこなうのが一般的です。
なお、31日が命日となった場合、基本的に31日が月命日となりますが、必ずしも毎月31日があるわけではありません。
この場合は月命日をその月の最終日に設定し、供養や法要を執りおこなう場合が多いです。
命日にやってはいけないこと4選
命日には、おこなってはならないものが多数存在します。
ここでは、以下の観点で命日におこなってはならないことを紹介します。
- お供え物の注意点
- 服装の注意点
- 遺族へかける言葉の注意点
- 法要の案内時の注意点
各注意点をおこなわないように注意して、命日を正しい形で過ごしましょう。
お供え物の注意点
命日では、お供えをおこなう形が一般的です。
命日のお供え物については明確な決まりはないものの、基本的には故人が好きだったものを選ぶのがベターです。
代表的なお供え物としては、以下が喜ばれる傾向にあります。
喜ばれる種類 | 理由 |
お菓子 | クッキーやカステラなど日持ちするものが特に喜ばれる傾向にある。また、親族や参列した方に対して気軽に振る舞えるように常温で保存できるものも人気が高い。年齢層に合わせて種類を選ぶとなお喜ばれる。 |
果物 | 故人が好んでいた果物や旬の果物を選びたいが、傷みにくく分けて食べやすい果物がよい。丸い果物は縁起がよいとされており、メロンやリンゴが特に人気となっている。果物を箱詰めや籠盛りも人気であるが、故人との縁を切るという意味を持たせないため個数は割り切れない奇数とする。 |
お花 | 故人が好んでいたお花をお供えするのが一般的で、以下が特によく選ばれている。
白や黄色、青、紫などの色のお花を選ぶのが一般的であり、バラなどのトゲのある花、香りの強い花は避ける。また、鉢植えについては根付くという意味がある関係上、避けるのが無難。 |
お線香・ロウソク | 消耗品となるお線香やロウソクは、贈ると遺族より喜ばれることが多い。お線香については、香りが控えめで煙が発生しにくいものを選ぶ。 |
一方で、以下のようなお供え物は命日に備えるものとしてふさわしくありません。
避けるべき種類 | 理由 |
肉・魚 | 肉や魚は、殺生を連想させるためお供え物に向いていない。また、四足歩行をする動物の肉や生の魚についても、四つ足生臭ものと言われて古くから避けられている。生ものは傷みやすいという側面からも、肉や魚はさけるべき。 |
お酒 | お神酒としてお供えするケースが多く、故人がお酒を好きだった場合はお供え物として選定しても問題ない。ただし、遺族がお酒を飲まないケースでは重くて場所を取ってしまい、遺族が扱いに困る可能性があるため避ける。 |
五辛 | ニンニクやネギ、ニラ、らっきょう、生姜、山椒など、臭いが強かったり辛みがあるある食べ物は避ける。 |
大きくてかさばるもの | 大きなものやかさばるものは、遺族の迷惑となるものは避ける。 |
故人だけでなく、遺族の方に喜ばれる、迷惑をかけないものを選定しましょう。
服装の注意点
月命日や祥月命日では、特に服装に関する決まりはなく平服や普段着でも問題ありません。
ただし、遺族や親しい親族のみで執りおこなう場合、僧侶の読経や会食を省略してお墓参りのみで済ませるケースも多いです。
その場合は、明るい色や露出の多い服装は適さず、地味な色合いでまとめるようにしましょう。
もし、年忌法要として僧侶に読経を依頼するケースなどの場合、どのような服装でもよいわけではありません。
法要に参列する場合は、遺族は準礼装を身に付け、参列者の場合は略礼装を取り入れるのが一般的です。
参列者については、あくまでも略礼装が望ましく、遺族よりも格式が高い服装となってはなりません。
遺族の意向次第では、平服で参列してもよい場合がありますが、遺族の意向に従ってください。
遺族へかける言葉の注意点
遺族にとっては、家族の命日に声をかけてもらうことは意外とうれしいものです。
ただし、言葉をかける際には以下のような内容は避けてください。
避けるべき言葉 | 理由 |
死を連想させる言葉 | 以下のような直接死を連想させる言葉はふさわしくなく避けるべき。
|
重ね言葉 | 不幸が重なる、死や不幸が再び起こることを連想させる、以下のような言葉を避ける。
|
縁起が悪い言葉 | 縁起が良くない以下のような言葉を避ける。
数字の九は「苦」、四は「死」を連想させる不吉な言葉となるため、使用しないようにする。 |
また、参加される場合は以下のように簡潔に挨拶することを心がけてください。
- 謹んでお悔やみ申し上げます
- 〇〇様のご命日にあたり、ご冥福を心よりお祈り申し上げます
法要の案内時の注意点
命日の案内をおこなう場合、なるべく早く案内用するようにしましょう。
あまりに直前すぎると、予定が付かず参列できない場合があるためです。
遺族としては。1か月ほど余裕をもって法要の案内をおこない、参列者としても早めに出欠の返事をおこなってください。
なお、一周忌の場合は以下のような内容で案内状を作成しましょう。
謹啓 【時候の挨拶】 皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます
亡母○○の一周忌法要を左記のとおり営みたく存じますので御多忙の折恐縮ですが何卒ご臨席いただきたく宜しくお願い申し上げます 謹白
一、開催日時:○○○○年○月○日 ○時~○時
二、開催場所:住所・電話番号
○年○月○日 施主の氏名・連絡先
命日のおすすめの過ごし方4選
命日におけるNG行為が理解できたところで、命日にどのように過ごせばよいのかを知ることも重要です。
命日では、主に以下のような行動をとります。
- お墓参り
- 仏壇の掃除
- 法要
- 卒塔婆供養
各行動について、詳しく解説します。
お墓参り
命日には、お墓参りをおこなうのが一般的です。
遠方に暮らしている方の場合、頻繁に故人のお墓を訪問するのは難しいものです。
そこで、命日には家族が揃ってお墓参りをおこなうことをおすすめします。
なお、命日が平日である場合はなかなか日程が合わずお参りできない場合もあります。
そこで、当日にお墓参りすることが困難な場合、週末などにスライドしておこなっても問題ありません。
仏壇の掃除
仏壇は、一般的には以下のようなタイミングで掃除することが多いです。
- 春のお彼岸
- お盆
- 秋のお彼岸
これは、宗教的な行事の前におこなうことで、故人やご先祖を気持ちよくお迎できるためです。
また、親戚や近所の方が仏壇にお参りする機会が多いため、仏壇の掃除をおこなうのが無難です。
清掃を行う場合、先祖に手を合わせて掃除する旨のお声がけをするとよいでしょう。
実際に仏壇を清掃する場合、一度仏壇から降ろせる仏具はすべて降ろして、上部分から埃を払い落とします。
そして、用具を使用して乾拭きして、細かい部分の埃を落とします。
なお、仏壇は湿気に弱い関係上、清掃する場合は水を使用するのは厳禁です。
法要
命日の場合、法要を執りおこなうタイミングと重複する場合があります。
特に、一回目の祥月命日には一周忌、二回目の法要として三回忌を執りおこないます。
一周忌の場合、主に以下のような流れで進行するケースが多いです。
- 僧侶の入場
- 施主による挨拶
- 僧侶による読経
- お焼香
- 僧侶による法話
- お墓参り
- 会食
- 施主による終了の挨拶
また、参列された方に対しては引き出物を渡すことが通例となっています。
卒塔婆供養
命日には、卒塔婆供養を執りおこなう場合があります。
仏塔とは、仏舎利を安置している仏教建築のことを指し、卒塔婆や塔婆、ストゥーパ、供養塔などとも呼ばれています。
ストゥーパとは、サンスクリット語では「高く顕れる」という意味があり、仏教の世界観となる涅槃の境地を象徴しているのです。
ストゥーパが古代インドより中国に仏教が伝来した際に、卒塔婆と音訳されとされています。
卒塔婆には、宗派やお寺により異なるものの、以下のような内容を記載することが多いです。
- 戒名
- 没年月日(命日)
- 経文
- 梵字
- 施主名
- 供養年月日
宗派によっては、卒塔婆の裏に「バン」という梵字が記載されますが、これは大日如来を表しているのです。
浄土真宗以外の宗派においては、納骨法要や年忌法要を執りおこなう際に、施主や参列者が卒塔婆をお墓の周辺に立てて供養する風習があり、そのことを卒塔婆供養と呼びます。
卒塔婆供養は、最初に納骨供養のタイミングで実施して、その後は各法要において新しい卒塔婆に交換する形がとられます。
古い卒塔婆については、菩提寺か墓地の管理事務所に処理を依頼してください。
まとめ
命日には、様々な法要やお墓参りなどを執りおこないます。
その中で、マナーを守って適切に対処する必要があるのです。
今回紹介したポイントを参考に、命日で各方面に迷惑をかけないように注意しましょう。
蓮華では、葬儀や法事などのマナーなどの情報をわかりやすく解説しています。
喪明けと忌明けの違い|喪明けまでの期間や喪中に避けるべきこと
プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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