生前整理として実施することとして、主にものの整理や遺言書、エンディングノートの作成を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
確かに、上記内容は非常に重要なものですが、実際には特に決まった形式はなく、自分がやりたいことをやる形で進めるのがおすすめです。
また、生前整理として実施した方がよい作業として、アルバムの整理があります。
最近では、デジタルデータとして写真を残すケースが増えていますが、プリントした写真も意外と多く残っているものです。
生前整理において、写真を整理することで様々なメリットがあります。
では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、生前整理でアルバムを片付けるメリットや、写真整理のコツと処分方法について詳しく解説します。
生前整理でアルバムを整理するメリット
生前整理のなかで、アルバムの整理を実施するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
- 遺族の負担を減らせる
- 人生を振り返れる
- 認知症発症のリスクを減らせる
- 遺影に使う写真を選べる
各メリットについて、詳しく見ていきましょう。
遺族の負担を減らせる
故人が残したものは、基本的に遺品整理という形で残された家族が整理を実施します。
遺品整理をおこなう際には、いかに故人の想いを汲んで残すべきものを適切に残すことができるかが重要です。
ただし、身近な存在である家族であっても故人の想いを完全に反映させるのは困難なものです。
アルバムが残されている場合、特に画像としてさまざまな情報が残っているだけに、さらに残すべきかどうかを悩んでしまいます。
また、残された家族にとっては少しでも故人が写っている画像を残したいと考える場合もあるでしょう。
そこで、生前整理としてアルバムの整理をおこなうことで、遺族に対しての負担を大きく軽減できます。
また、家族が思い出を共有することができる点も大きなメリットとなります。
人生を振り返れる
アルバムの整理を生前整理の段階で実施することで、自分の人生を振り返ることができます。
通常、生前整理は断捨離の精神でなるべく無駄なものを処分する行動をとるのが一般的です。
ただし、大切な思い出はいつまでも残しておきたいものであり、アルバムを整理することで自分の人生や思い出を振り返りつつ、人生観を見直すきっかけにもなるでしょう。
終活においては、老後や残りの人生をどのように生きていくのかを決めることも重要です。
アルバム整理で懐かしい写真を見ながら、今後の人生設計を図っていくことができる点も大きなメリットとなります。
認知症発症のリスクを減らせる
生前整理でアルバムの整理をおこなうメリットとして、実は身体的な面でもよい方向に進むケースもあります。
代表的な例としては、認知症の発症リスクを減らす効果が期待できます。
高齢化社会を迎えるなかで、認知症に対してどのような対応を図るべきかが大きな課題です。
残念ながら、認知症に対する特効薬はなく、進行を遅らせることは可能であるものの改善を図るのはまだまだ難しい状況です。
そこで、いかに認知症を発症させないかの対策が問われています。
実は、生前整理においてアルバムを見ることにより、回想法の効果により認知症を遅らせることが可能と言われています。
回想法とは、アメリカ合衆国の精神科医である、ロバート・バトラー氏が1960年代に確立した療法のことです。
回想法では、グループを組んでグループのメンバーに対して自分の過去を話す行為を行なってもらいます。
これにより、話した人と話を聞いた人に精神的な安定感を与えて、認知機能にもよい影響を与えると言われています。
日本でも、回想法自体はうつ病を患っている高齢者に対しておこなわれていましたが、現在は認知症の症状に対しても薬を使わない療法としても広く活用されている状況です。
生前整理でアルバムを整理しながら、昔話に花を咲かせるだけでも回想法による効果はあると言え、認知症発症のリスクを抑えることができますよ。
遺影に使う写真を選べる
葬儀などで使用する遺影について、生前整理においてアルバムを整理すればどの写真を使用してほしいのかを事前に決めることができます。
遺影は、葬儀などで非常に目立つ形で掲げられ、また葬儀後も仏壇などの周辺に飾られる形となります。
自分を表すものとして、なるべく自分の意思でどのような写真を使用してほしいのかを、生前整理のアルバム整理でおこなえるのは大きなメリットです。
また、遺影を自分で決定せず亡くなった場合、残された家族が決める形となりますが、どのような写真を選定するのかはとても悩むものです。
そこで、生前整理の段階で遺影を決めておけば、残された家族を悩ませることなく遺影を選定できます。
終活でアルバムを整理する際のポイント
終活でアルバムを整理するとなった場合、実際にどのように実施すればよいのか悩むものです。
そこで、以下のような手順で整理を進めるとよいでしょう。
- 写真を仕分けする
- 家族と相談しながら整理する
- 小さなアルバムにまとめる
- 写真をデータ化する
- エンディングノートに記しておく
各ステップについて、詳しく解説します。
写真を仕分けする
生前整理においてアルバムを整理する最初のステップでは、写真を仕分けることから始めます。
仕分けとは、残したい写真と処分する写真を分類する作業のことです。
アルバムに残している以上、基本的には残したい写真ばかりの可能性が高いですが、当時と事情が変わって処分する写真も存在する可能性があります。
よって、各アルバム別に写真の要否をチェックして、一旦アルバムから外すなどの対応を図ってください。
なお、技術の進化によって必ずしも写真にプリントして残さなくても、電子データとして残すことも可能です。
よって、プリントした写真は不要でも電子データとして残すものは、別に分類しておくと良いでしょう。
家族と相談しながら整理する
生前整理でアルバムの整理をおこなう際には、自分一人ではなく家族と相談しながら整理するのがおすすめです。
写真を整理する場合、自分だけの思い出だけが残されているわけではなく、家族と撮影した写真は家族にとっても大切なものである可能性があります。
そこで、自分だけの勝手な判断で処分してしまうと、家族の大切な写真までも処分してしまう可能性があるのです。
そこで、家族と一緒になってアルバムを整理すれば、勝手に処分するなどのトラブルを回避できます。
また、先に紹介した回想法を実践しながら整理すれば、認知症発症予防の効果も期待できるのでおすすめです。
小さなアルバムにまとめる
事前に写真を仕分けたなかで、残すと判断した写真については小さなアルバムにまとめていきます。
大きなサイズのアルバムよりも、コンパクトで小さなアルバムの方が収納しやすく見る際にも見やすいメリットがあります。
ただし、サイズに特に指定はありませんので、自分好みのサイズのアルバムを選んでまとめましょう。
写真をデータ化する
プリントした写真以外で、画像データとして残したい場合は写真のデータ化が必要です。
写真のデータ化で最も簡単に対応できる方法として、スマートフォンで写真を撮影する方法があります。
ただし、きれいに枠に収めて撮影することは難しく、あくまでも簡易的な方法としか対応できません。
もし、きれいに写真をデータ化するためには、以下のような方法を取るのがおすすめです。
- スキャナーで画像データとして取り込む
- 専用アプリを用いてスマートフォンなどで撮影する
- 写真屋のサービスを利用する
特にお勧めできるのが、写真屋のサービスを利用する方法です。
写真屋では、プリントした写真を画像データ化して、各種媒体などで提供してくれるサービスを提供しています。
専門家が対応するため、非常にきれいな画像データとして保存できる点が魅力的です。
また、DVDなどのメディアに落とし込んで提供してもらえるため、管理もしやすいメリットがあります。
エンディングノートに記しておく
一通りのアルバム整理が終了したら、最終的な状態をエンディングノートに記しておきましょう。
エンディングノートでは、自分が伝えたいことであればどのような内容を記載しても問題ありません。
自分の残したものを一覧としてまとめるケースが多いですが、アルバムについてもリストアップしておいて残すのがおすすめです。
なお、生前整理では写真の画像データ以外にも、さまざまなデジタルデータを整理するのが一般的です。
もし、プリントした写真を画像データ化した場合でも、画像データ一覧をエンディングノートに記載しておきましょう。
整理した写真の処分方法
生前整理でアルバムを整理した際に発生した、不要と判断した写真について以下の形で処分してください。
- 自分で廃棄・焼却する
- お寺・神社にお焚き上げしてもらう
- お焚き上げ業者・遺品整理業者に依頼する
各処分方法の詳細は、以下のとおりです。
自分で廃棄・焼却する
写真を処分する場合、処分する判断をしたものの実際の処分に抵抗がある場合があります。
もし、特に抵抗なく処分できる場合は、自分で廃棄したり焼却したりして処分しましょう。
写真の処分は、各自治体の可燃ごみとして処分できます。
ただし、写真をそのまま処分すると個人情報の漏えいにつながるリスクもあるため、破ってばらばらにしたり、シュレッダーにかけたりしておくとよいでしょう。
また、直接ゴミ処理場に持ち込んで処分してもらう方法もあります。
お寺・神社にお焚き上げしてもらう
お焚き上げとは、故人が生前に大切にしていた遺品や、粗末に扱えないものなどを神社やお寺で供養し、焼いて天に還す宗教儀式のことです。
粗末に扱えないものとして写真が該当する場合、お焚き上げの形で処分してもらうのがおすすめです。
なお、写真以外にも以下のようなものがお焚き上げしてもらう場合があります。
- 仏壇仏具や神棚
- 人形やぬいぐるみ
- お守り
- 達磨(だるま)
基本的には、お寺や神社にお焚き上げして欲しい写真を置いておく場所が開設されており、そこに写真を置いておくことで実施してもらえます。
なお、お気持程度にお賽銭することを忘れないでください。
また、近くにお寺や神社がない場合は、事前連絡したうえで郵送にて送付してお焚き上げしてもらう方法もあります。
お焚き上げ業者・遺品整理業者に依頼する
お寺や神社でお焚き上げしてもらう場合、時期が限られるなどの問題点があります。
そこで、お焚き上げの専門業者が存在しており、お焚き上げ業者に依頼すれば基本的に郵送で送付すれば処分してもらえます。
当然、費用がかかりますが手軽にお焚き上げしてもらいたい場合におすすめの方法です。
また、お焚き上げ業者だけでなく遺品整理業者に依頼する方法もあります。
まとめ
生前整理において、アルバムを片付けることによるメリットは、とても大きなものがあります。
単純に、残された家族が遺品整理しなければならない負担を軽減できるだけでなく、認知症の発症予防にも効果がある点が魅力的です。
最近では、簡単に写真のデジタルデータ化が可能となっていますので、ぜひ今回紹介した方法で生前整理としてアルバムの片付けを実施してください。
社団法人蓮華では、お客様の生前整理を手厚くサポートさせていただいていますので、もしアルバムの片付けでお悩みの場合もお気軽にお声がけください。
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プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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