人間が死を意識し始めた際に、終活を始めることが多いです。
終活という考え方は、特に昨今当たり前になりつつあり、特にエンディングノートがブームになって以降、その傾向が如実に表れています。
終活の中でも、特に重要とされているのが生前整理となります。
生前整理は何となくどのようなことをやればよいのか連想できますが、具体的な内容まで把握している方は多くありません。
では、生前整理とはどのようなことを実施するのでしょうか。
この記事では、終活の中でも特に重要な生前整理についてやり方や注意点などを紹介します。
生前整理とは?
はじめに、生前整理について改めて解説すると、生前整理とは自分が生存している段階において、自分が持っているものや財産などを整理することを指します。
なぜ、ものや財産をする必要があるかと言えば、不要なものを処分して相続時に困らないようにするためです。
特に、財産については相続時にトラブルが発生する可能性が高く、なるべく相続する人が道筋を立てておくのが一般的です。
また、生前の段階で生前贈与の形で譲渡しておくことで、相続税対策として効果があります。
よって、財産の整理を実施しておくのはとても重要なのです。
他にも、生前整理をしておくと遺品整理が楽になるメリットもあります。
遺品整理とは、故人が残したものを残された家族が整理することを指します。
具体的には、故人のものを必要なものと不要なものに分類し、不要なものを廃棄したり売却したりするなどの行為です。
遺品整理は、一般的には葬儀が終了してから四十九日法要までの間に実施する場合が多いです。
遺族としては、葬儀が終了して一息つきたい状況ですが、続けて遺品整理に着手しなければなりません。
時間的にも精神的にも余裕がない中でおこなわなければならず、大きな負担となってしまいます。
また、遺品整理は故人の想いも汲んで行う必要があり、想像以上に時間がかかるものです。
そこで、生前の段階で自分で整理して置けば、残された家族への負担を軽減できるのです。
終活との違い
生前整理と終活は、一見すると同じような行動に見えるかもしれませんが、実際には若干ニュアンスが異なります。
生前整理の場合、主に残された家族の負担を軽減したり、自身が死亡した後のことを考え、元気に動ける段階で自ら整理することを指します。
一方で、終活とは人生の終わりを迎えるためにおこなう活動のことです。
生前整理の場合、終活と同様に人生の終わりに向けておこなう行動ですが、これまでの人生を振り返って、遺族や大切な人に迷惑をかけないよう、身の回りの整理をおこなうのが生前整理です。
以上から、生前整理は終活の一部という見方もできます。
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生前整理はいつから始める?
生前整理については、明確な定義はありません。
よって、いつから始めなければならないか、そしてどの期間内に終わらせなければならないかは自由です。
ただし、最低限自分が死亡する前に完了させなければなりません。
また、実際に生前整理をおこなうと非常に時間がかかる作業が多くあり、とても大変です。
さらに、ものの整理をおこなう際には体力的にもかなりの負担が強いられます。
例えば、大型家具などの処分が必要となった場合、力仕事となり足腰がまだ丈夫な段階で対応しなければなりません。
時間がかかること、そして身体への負担も大きいことから、まだ若い段階で始めるのがよいでしょう。
特に、50代から始めれば老後の生活を見据えて生前整理できます。
生前整理のやり方
生前整理を実際に進める場合、以下のような項目について対応する必要があります。
- 所有物の整理・処分
- 書類の整理
- 財産の整理
- デジタルデータの整理
- 遺言書の作成
- エンディングノートの作成
各項目について、詳しく見ていきましょう。
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所有物の整理・処分
生前整理の中でも、代表的な作業となるのが自分が保有しているものの整理です。
ものの処分をおこなうことで、遺品整理の手間が省けたり、ものへの執着心を無くすことで部屋をすっきりさせたりできます。
また、断捨離と同時にミニマリストを実践すれば、整理したあとに無駄なものを購入しなくなり、支出を抑えられるメリットもあります。
ものの整理をおこなう際、まずは必要なものと不要なものに分類してください。
また、まだ使うかどうか判断できないものがあれば、保留という形で一旦は保管しておきましょう。
その後、不要と判断したものを廃棄またはリサイクルショップなどで買い取ってもらいます。
不用品の廃棄は、各自治体のごみ収集日に出すか、業者に依頼して引き取ってもらい処分する方法もあります。
書類の整理
ものの整理がひと段落したら、次に書類の整理をおこないます。
書類の中には大切な書類も多いため、整理と言っても必ずしも処分しなければならないわけではありません。
明らかに不要な書類を処分して、必要な書類を分類して保管する作業が必要です。
書類を整理する場合、最初に住居にある書類を集めて、必要な書類は段ボールに、不要な書類はゴミ袋などと仕分けていきます。
必要な書類とは、主に以下が該当します。
- 金融機関の通帳
- 税控除の証明書
- 源泉徴収票
- 保険関係の書類
- 登記に関する書類
- 相続関係の書類
- 投資に関する書類
また、不要な書類としては、各種パンフレットやダイレクトメール、レシートなどがあります。
不要な書類は、シュレッダーにかけるなどプライバシー保護対策を施した上で処分しましょう。
財産の整理
財産の整理でも、基本的に必要なものと不要なものに分類するのには違いがありません。
財産整理では、はじめに保有している銀行口座やクレジットカードを確認した上で、現在利用していないものや使用見込みがない場合は、解約手続きをおこなってください。
銀行口座を複数持っている場合、特に複数保有する必要性がない場合はひとつにまとめるのもよいでしょう。
ほかにも、財産の中で不必要なものがあれば処分、売却などの手続きをおこない、身軽になっておくのがおすすめです。
さらに、財産の整理で重要となるのがマイナス資産の整理です。
マイナス資産とは、主に借金や負債などが該当し、相続時にはマイナス資産も相続しなければなりません。
マイナス資産の相続はトラブルとなる可能性が高く、なるべく清算できるものは生産してください。
デジタルデータの整理
昨今の相続では、デジタル遺品の処分でトラブルになるケースが増えています。
デジタル遺品とは、PCやスマートフォンなどのデジタルデバイスや、デジタル機器内やインターネット上に保存されている情報やデータが該当します。
さらに、以下の情報もデジタルデータに該当するのです。
- 使用しているインターネット契約のプロバイダ情報
- SNSの登録情報
- 会員サイトの登録情報
- ECサイトの登録情報
生前整理では、所有しているデバイスや契約などを一覧にまとめてください。
そして、使用していないサービスの契約は、可能な限り解約しておくとすっきりします。
重要な情報やデータが保存されているデバイスやサイトについては、確実に処分されるように家族などに依頼してください。
データの消去については、データを消去したつもりであっても、簡単に復元できるケースが多いです。
完全に消去するためには、デバイスそのものを破壊してしまう方法があります。
また、残された家族が継続して登録したサービスを利用できるように、IDやパスワードなどの情報を一覧としてまとめておきます。
ただし、IDやパスワードは非常に重要なデータとなるため、生前は他人に知られない場所に保管してください。
また、死後には処分してもらいたい人に伝わるように、保管場所をエンディングノートなどに記載しておくことをおすすめします。
遺言書の作成
遺言書とは、自分が死亡した後で残された財産を誰にどのように分配するかなどを書き記したものです。
遺言書は、主に以下のような効力があります。
- 誰に相続するのかを指定できる
- 相続する権利を剥奪できる
- 遺言執行者を指定できる
相続に関する重要な意思を示すものとなり、民法により様々な決まりがあります。
もし、法律の形式に従って正しく作成していない場合、遺言書が無効となるので注意してください。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分に万が一のことが発生した場合に備えて、事前に家族やまわりの人に伝えたいことを書き留めておく、ノートや手紙のことです。
エンディングノートは、主に以下のような内容を記載します。
- 自分の基本情報
- 財産や資産の状況
- 身の回りの状況
- 家族や親族の状況
- 親しい友人や知人について
- 医療や介護の方針
- 葬儀やお墓について
- 相続や遺言書について
- 連絡先
エンディングノートは、遺言書のように正確な決まりはなく自由に作成できる反面、法的効力はありません。
よって、相続に関することを記載しても、遺言書のように自分の意思通りとならない場合があるので注意してください。
エンディングノートについては、最近では書店などで販売されているケースが増えています。
生前整理の注意点
生前整理をおこなう際には、注意すべきポイントがあります。
特に、取り返しがつかないようなことになることも多く、以下のような点に特に注意してください。
- 重要書類や必要な物を捨てない
- 詐欺・悪質業者に気をつける
- 親族間のトラブルが起きないようにする
各注意点について、詳しく解説します。
重要書類や必要な物を捨てない
生前整理では、様々なものの処分をおこなう必要があります。
処分する際に注意したいのが、本来残すべきものを処分してしまわないようにする点です。
明らかに必要なものであれば、処分せず保管するのが一般的です。
ただし、契約書などは普段使用する機会がなく、不要として判断してしまうケースが散見されます。
契約書は、もしトラブルなどがあった場合にどのような契約内容であったかを確認する必要があり、勝手に処分しないようにしてください。
少しでも使用する可能性があるものは、残しておくようにしましょう。
詐欺・悪質業者に気をつける
生前整理は一人でおこなうのは大変です。
例えば、重いものを処分する場合、他人の手を借りて作業しなければなりません。
また、遺言書の作成時には法的な知識を有した方にアドバイスをもらいながら作成したいものです。
生前整理をサポートする業者があり、様々な作業の代行やアドバイスなどを受けられます。
業者を利用すると効率よく生前整理ができる反面、一部では悪徳業者も存在します。
悪徳業者の特徴として、法外な費用を請求したり、勝手にものや財産を処分してしまうなどの被害に遭うケースが多いです。
また、利用者が法的な知識がないことを悪用して、詐欺を働く場合もあるため、注意が必要です。
業者を利用する際には、事前に見積もりを取得して適正料金で利用できるか、また見積もり内容に不明点がある場合は問い合わせるなどの対応が必要となります。
また、業者の評判を確認しておくのもよいでしょう。
親族間のトラブルが起きないようにする
生前整理でものを処分する場合、自分の意向だけで作業を進めると家族が大切にしていたものを処分してしまう可能性があります。
自分では不要だと思っていても、家族にとっては重要なものというケースが往々にあります。
もし、勝手に処分してしまうと親族であってもトラブルに発展しかねません。
また、相続についても家族の意向をある程度汲み取って方向性を決めないと、親族間でのトラブルとなる可能性もあります。
よって、生前相続はある程度家族などの意見も聞きながら進めてください。
まとめ
終活の中でも、生前整理はとても大切な作業となります。
特に、相続関連の大きな流れが決まる遺言書の作成などは、慎重におこなう必要があります。
さらに、法令に準拠した形で遺言書としなければ、無効となってしまうので要注意です。
もし、生前整理を進める上でお困りのことがあれば、一般社団法人蓮華にお気軽にご相談ください。
プロフィール
- 一般社団法人蓮華は高齢者様を一人にさせず、一人一人に対して真心を持って接していく会員制の団体です。 直面している社会問題を寄り添い共に考え、より良い未来を作り、 人生を豊かにしていくサポートを行っていきます。
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