通帳の再発行は本人以外でも可能?口座が凍結した場合の対処法も解説

認知症となると、生活において様々な影響が発生します。

今まで当たり前にできていたことができなくなるため、生活のサポートを必要とします。

軽い認知症の症状として、ものを置き忘れたり直前に行動したことを忘れるケースがあるのです。

大切に保管していたものであっても、置き場所を忘れてしまう場合も多いです。

金融機関の通帳は、引き落としに使用できたり残高を証明する資料にもなるため、とても重要なものです。

もし、認知症の親が通帳を紛失してしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

この記事では、認知症の親が通帳を紛失した場合や、親の口座が凍結してしまった場合の対処法を紹介します。

認知症の親が通帳を失くしてしまった

認知症の親が通帳をなくしてしまった場合、対処法として以下のような方法があります。

  • 本当に紛失したのかを確認する
  • 通帳紛失時の手続きを行う

各対処法について、詳しく解説します。

本当に紛失したのかを確認する

はじめに、まず本当に紛失したのかをよく確認する必要があります。

親が紛失してしまったと申告した場合、その申告自体が事実であるかを検証してください。

例えば、親がこの場所に通帳を保管していたのに見つからないという場合、本当にその場所に保管していたのかの確認が必要です。

似たような箇所に保管していないか、探す必要があります。

また、自分で記帳などをおこなうために持ち出した場合、どのような行動をおこなったのかを振り返り、それぞれ立ち寄った場所などを探します。

通帳が亡くなったからといって、すぐに再発行などの手続きを取るのではなく、まず自分でできる対応を最優先に実施しましょう。

通帳紛失時の手続きを行う

思い当たる場所をすべて探しても通帳が見つからない場合、通帳紛失時の手続きをおこなってください。

通帳紛失時の手続きは、対象となる金融機関で申し出る形で実施します。

紛失した旨を知らせると、金融機関側としては通帳が勝手に使用できないように、その時点で通帳の利用停止の手続きに入ります。

もし、申し出た後に通帳が発見された場合は利用停止を解除しますが、もし見つからないままの場合は通帳の再発行手続きをおこなわなければなりません。

再発行の手続きは、各金融機関によって異なりますが、通常は窓口での取扱いとなるのが大半です。

窓口では、以下のような書類を準備する必要があります。

  • 口座名義人の身分証
  • 届出印

また、別途再発行に関わる手数料が必要になるため、準備してください。

なお、認知症の親が金融機関の窓口まで訪問するのが困難な場合、通帳再発行の届出書を家族が受け取って、自宅で本人が記入して手続きをする方法も利用可能です。

ただし、金融機関によって取扱いは異なり、手続きの際に銀行から本人宛に意思確認などをおこなう場合があり、時間がかかる傾向があります。

通帳自体は利用停止されているため勝手に利用されるリスクはありませんが、できるだけ親と窓口に訪問して、なるべく早く再発行手続きを済ませましょう。

本人以外が再発行する際の注意点

本人以外の家族が、通帳を再発行手続きすることも可能です。

ただし、その際には各金融機関で定められた委任状による手続きが必要です。

委任状は、手続きを委任する方がすべて自筆で記入する必要があり、また代理人の住所や氏名が確認できる運転免許証などの公的証明書と委任者の届印が必要です。

なお、お手続きの内容によっては委任者の公的証明書の提示をお願いするケースもあるため、各金融機関に事前に確認しておきましょう。

本人以外が口座から預金を引き出す方法

認知症の親が自分自身で預金を引き出すことが厳しくなった場合、家族が代理で引き出すことが可能です。

本人以外が口座から預金を引き出す方法としては、主に以下2パターンがあります。

  • ATMを利用する場合
  • 窓口を利用する場合

各パターンの詳細は、以下のとおりです。

ATMを利用する場合

各金融機関のATMに出向いて、引き出しが可能です。

なお、金融機関によってはキャッシュカードだけでなく通帳を使用して引き出すことができます。

ATMで引き出しを選択して、キャッシュカードまたは通帳を挿入し、その後暗証番号を入力してください。

そして、引き出したい金額を入力すれば引き出せます。

この場合、親の口座の暗証番号を事前に確認しておく必要があります。

窓口を利用する場合

窓口で引き出す場合、以前であれば通帳と印鑑があれば誰でも引き出すことができました。

ただし、昨今では厳しく本人確認する傾向にあり、以前のように通帳と印鑑だけで引き出せなくなりました。

もし、家族が親の口座から引き出したい場合、以下のような書類などを準備して手続きしなければなりません。

  • 本人の通帳
  • 届出印
  • 代理人の本人確認ができる書類
  • 親族であることが確認できる書類
  • 委任状など

また、別途親に連絡が入って確認されるケースもあります。

なお、本人以外が窓口で引き出す場合、引き出し最高額が10万円までに制限されるのが一般的です。

認知症になると銀行口座が凍結される理由

ここまでは金融機関が、親が認知症を発症したことを把握していない場合の方法を紹介してきました。

実は、金融機関側としては認知症担った事実を把握したタイミングで、銀行口座を凍結する場合があるのです。

これは、本人の判断能力が低下して預金の管理ができない状況と判断して、一般的には口座を凍結して利用停止にする形です。

口座が凍結されると、預金の引き出しや口座の解約が行えません。

口座が凍結されるタイミング

口座が凍結されるタイミングとしては、主に以下のパターンがあります。

  • 家族が認知症について銀行に告知した場合
  • 認知症を発症した親が銀行に出向いた時に、意思決定能力が著しく欠けて認知症と思しき状態を発見した場合、
  • 親の施設入所のために家族が定期預金などを解約するために本人と一緒に銀行へ出向き認知症ということが判明した場合

以上のように、認知症になった時点では金融機関側としてはその事実を把握できません。

よって、認知症であることを自己申告した場合や、金融機関側が窓口での対応時に判断されて口座凍結される形です。

認知症で口座が凍結されてしまった場合の対処法

最近は高齢化が社会全体の問題化しており、金融機関側でも認知症に備えた手続き方法を案内しています。

例えば、本人が銀行に訪問できない場合でも、介護費や医療費の請求書など引き出したお金の使途が明確となる書類を家族が持参すれば、引き出しに対応してくれる金融機関もあります。

また、一部の金融機関でも本人の判断能力のある段階で家族が代理人登録して、本人の認知症が進行した場合でも代理人の権限により引き出せる独自の制度を設けている金融機関もあるのです。

ただし、一度口座が凍結された場合は成年後見制度を使用するしか基本的に引き出しはできません。

成年後見制度を利用する

成年後見制度とは、認知症などによって判断能力が低下して、財産管理や契約行為が行えなくなった場合、悪徳商法などの被害により財産を失う恐れがある人を支援する仕組みです。

本人の判断能力の程度に応じて、後見と保佐と補助の3つに分かれた制度を利用可能です。

成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所へ申立てが必要となります。

申し立てた後、家庭裁判所の調査官による調査や審理、成年後見人等の選任・審判、そして審判が確定すれば利用できます。

なお、法定後見制度を利用した後に成年後見人等から請求があった場合、報酬の支払が必要です。

この際の報酬額については、家庭裁判所の判断により決定されます。

口座の管理以外にも、認知症の親の財産管理は成年後見人がすべて担当する形となります。

まとめ

親が認知症になった場合で、もし金融機関側でその事実が把握された時点で、口座が凍結されます。

口座が凍結されると、引き出せなくなるなどの制限がかかるので注意が必要です。

各金融機関では、認知症対策として様々な制度を用意しているので、事前に確認して準備を進めておきましょう。

また、親が認知症になった場合の相続の準備でお悩みの方は、一般社団法人蓮華にお気軽にご相談ください。

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