遺産相続の手続きに期限はある?気になる手続きを詳しく解説!

 

遺産相続

故人からの遺産については、遺産相続により相続する場合があります。

ただし、遺産相続は何かとトラブルが発生するケースが多く、なかなか話がまとまらないケースが大半です。

いつまでも話し合いが平行線をたどる場合、問題となるのが手続きの期限です。

もし、期限を超えてしまうと相続したくてもできないため注意が必要となります。

では、遺産相続の手続きにどのような期限が存在するのでしょうか。

この記事では、遺産相続の手続きに設定されている期限について、解説します。

遺産相続とは

相続とは、自然人の財産などのさまざまな権利や義務を、ほかの自然人が包括的に承継することを指します。

次に、遺産相続とは被相続人が残した財産を、相続人が引き継ぐ行為を指します。

通常、引き継ぐ財産を相続財産と呼称されますが、相続財産には被相続人が有していたすべての財産を含むのです。

預貯金や株式、不動産といったプラスの財産のほか、債権などのマイナスの財産も相続財産です。

主な相続財産と相続財産にならないものの区別は、以下のとおりです。

相続財産となるもの 相続財産とならないもの 相続財産とみなされるもの

(みなし相続財産)

  • 自動車、骨董品、絵画、宝石類などの動産
  • 不動産(宅地、農地、自宅、建物、借地権、借家権など)
  • 現金預貯金
  • 有価証券
  • 賃貸人や賃借人などの契約上の地位
  • 損害賠償請求権や損害賠償義務などの権利義務
  • 借金、滞納家賃、滞納税金などの負債
  • 被相続人の一身専属権や義務
  • 香典
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 祭祀財産
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡の3年前までに相続人へ贈与された財産
  • 弔慰金

相続財産は、資産価値が高いものも多く含まれるため、どのように分配されるかによって、大きなトラブルになる場合が多いです。

個人との続柄によって、以下の優先順位で相続が決定されます。

相続順位 対象者
常に相続人 配偶者
第1位
第2位 直系尊属(親・祖父母)
第3位 兄弟姉妹

他にも、法定相続人が得られる法定相続分についても、民法で詳しき規定されています。

期限のある手続き

遺産相続において、期限が決まっているものとして、以下があります。

相続時の手続き 期限
死亡届,火葬許可申請書 7日以内
年金受給停止,健康保険資格や世帯主の名義変更 14日以内
相続放棄,限定承認 3か月以内
準確定申告 4か月以内
相続税申告 10か月以内
遺留分侵害額請求 1年以内
生命保険金の請求 3年以内

各々の期限をしっかり順守し、確実に手続きする必要があります。

ここでは、各手続きの概要について解説します。

【7日以内】死亡届,火葬許可申請書

人が亡くなった場合、最初おこなわなければならない手続きとして、死亡届の提出があります。

死亡届の提出期限は、死亡した後7日間となっています。

もし、7日をこえて提出した場合、過料を支払わなければならないため、注意してください。

死亡届は、医師から死亡診断書または死体検案書を受け取り、セットとなっている死亡届の箇所に必要事項を記入し、市町村役場に届け出ます。

また、火葬するためには火葬許可申請書の提出が必要です。

火葬許可申請書は死亡届を提出する際に同時に提出するのが一般的で、役所から死体埋葬火葬許可証を入手できます。

【14日以内】年金受給停止,健康保険資格や世帯主の名義変更

もし故人が年金の受給者であった場合、受給停止の手続きが必要です。

国民年金は死亡後14日以内に、厚生年金は死亡後10日以内に年金事務所へ報告してください。

報告する際には、受給権者死亡届の提出が必要です。

もし、死亡を報告せずに年金を受給した場合、不正受給となるため注意しなければなりません。

次に、健康保険や介護保険について資格喪失の手続きをおこなう必要があります。

国民健康保険は市町村役場に、社会保険の場合は健康保険組合に連絡して、書類を提出してください。

また、社会保険の被保険者が死亡した場合、扶養されていた方については健康保険組合から埋葬料が付与されるので、忘れずに申請してください。

もし、被相続人が住民票上において世帯主である場合、役所で世帯主の変更届を提出する必要があります。

【3か月以内】相続放棄,限定承認

遺産相続の場合、必ずしも自分が相続しなければならないわけではありません。

相続放棄の手続きを取れば、不動産や預貯金などの資産や、借金や未払い税などの負債は一切負担する必要はありません。

特に、借金などの負債がある場合、相続破棄を選択するケースが多いです。

相続放棄したい場合、家庭裁判所で相続放棄の申述を3か月以内に行う必要があります。

続けて、限定承認とは相続財産の範囲で負債を相続することを指します。

限定承認すると、資産から負債を差し引かれ、残りがあれば相続し、負債が上回った場合には相続しない選択が可能です。

限定承認を受けたい場合、家庭裁判所で限定承認の申述を3か月以内に行う必要があります。

【4か月以内】準確定申告

準確定申告は、被相続人の代理で相続人が実施する確定申告のことです。

本来確定申告をするべき方が死亡したケースなどにおいて、相続人が準確定申告を実施する必要があります。

準確定申告は、相続人が相続開始を知った日の翌日から、4カ月が期限となります。

もし、期限を過ぎてしまうと延滞税が発生するため、注意が必要です。

ただし、被相続人に申告する所得がないケースでは、準確定申告の手続きは不要となります。

基本的には、以下のケースで準確定申告が必要となります。

  • 被相続人が事業を展開し確定申告していた場合
  • 被相続人に副収入があり確定申告の義務がある場合
  • 被相続人の給与額が2,000万円以上あり確定申告義務がある場合
  • 被相続人が確定申告によって還付金を受けたい場合

【10か月以内】相続税申告

相続税の申告が必要になる場合、納付を含めて相続開始を知った日の翌日から10カ月以内におこなわなければなりません。

もし、期限以内に申告と納税できない場合は税金滞納となり、遅延日数に応じた延滞税がかかります。

これにより、税額が高額になるだけでなく悪質な場合と判断されると刑事罰の対象となるので注意してください。

【1年以内】遺留分侵害額請求

相続する場合、兄弟姉妹以外の法定相続人が認められる、最低限の遺産取得割合である遺留分があります。

もし、遺言や生前贈与などにより遺留分を侵害された場合、侵害された相続人は侵害者に対して遺留分侵害額請求が可能です。

遺留分侵害額請求権は、相続開始と遺留分侵害の事実を知った後1年以内に請求しなければなりません。

もし、期限が過ぎると権利が消滅するため注意してください。

なお、単純に死亡が認められた日ではなく、相続開始と遺留分侵害の事実を知った時点からカウントされます。

また、相続開始から10年が経過した場合も遺留分侵害額請求権が消滅します。

遺留分侵害額請求の方法としては、内容証明郵便により侵害者へ遺留分侵害額請求書を送付する形で対応可能です。

この送付を1年の期限内に実施すれば、遺留分侵害額請求権が守られる形です。

【3年以内】生命保険金の請求

被相続人が生命保険に加入していた場合、指定された受取人が死亡保険金を受給可能です。

ただし、保険金請求権には3年の期限が設定されています。

3年以内に請求できるとあって、死後しばらく経過した後に保険に加入していた事実を知ってからでも、手続きすれば保険金を受け取れるのです。

ただし、期限を超えると権利が喪失するため注意してください。

期限が決められていない手続き

ここまでは、期限が設定されている手続きについて解説しましたが、相続時には期限が設定されていないものもあります。

代表的な手続きは、以下のとおりです。

  • 相続登記
  • 遺産分割協議

各手続きについて、詳しく解説します。

相続登記

相続登記とは、正確には「相続による所有権登記」と呼ばれる手続きを指します。

相続による所有権移転登記とは,土地や建物の所有者が亡くなった場合に、その土地や建物の名義を亡くなった方から相続人へ変更する手続きです。

相続登記は必ず実施しなければならないことはなく、また、手続きに期限は設定されていません。

ただし、相続登記をしない場合に様々なデメリットがあります。

さらに、相続投機は2024年4月に義務化されることが決定済みです。

義務化された後は、基本的に相続してから3年以内に相続登記しなければなりません。

また登記しないで放置した場合、10万円以下の過料が科されます。

遺産分割協議

相続財産を、誰がどのような割合で遺産を引き継ぐのか、そして遺産の分け方について協議する形となります。

もし遺言による指定がある場合、遺書に従って分配します。

また、遺言がないケースでは民法に従い分配される形です。

ただし、相続人全員で合意すれば遺言の内容や法定相続分とは異なる割合で遺産を分配可能です。

相続人全員で遺産の分け方について協議することを、遺産分割協議と呼びます。

遺産分割協議については、相続人全員が合意しなければ有効となりません。

もし、行方不明の相続人を除外して実施した場合は無効となるため注意してください。

この遺産分割協議は、いつまでという期限は設定されていません。

期限が過ぎた場合のデメリット

もし、遺産相続に関する各種手続きの期限を過ぎてしまうと、様々なリスクが生じます。

代表的なリスクとして、税金を余計に原話なければならない点があります。

無駄に費用が発生するため、期限内に確実に手続きしたいものです。

また、最悪の場合は借金などの負債を追わされる可能性もあるので要注意です。

専門家に相談するときの注意点

遺産相続の手続きを専門家に相談する場合、保有資格にどうしても着目しがちです。

ただし、遺産相続に対する知見があるのかを確認することも重要です。

専門家と言っても、実際にはそれぞれの得意分野があって、主に相続以外の業務に従事している場合は遺産相続に対して知識が乏しい場合があります。

また、相談時に費用が発生する場合もあるので、事前にかかる費用を確認してから依頼してください。

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まとめ

遺産相続する場合、バタバタしがちでありどうしても申請しなければならないものの申請漏れが発生しがちです。

そこで、確実に漏れなく手続きを進める必要があります。

特に、期限が決められている手続きが漏れると、追加で税金を払わなければならないなどのデメリットが多いです。

しっかりと手続きを進めて、無駄な費用がかからないように注意してください。

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