【子どもがいない夫婦の最後】相続トラブルや対策方法について解説

少子化に歯止めがかからない昨今、結婚した夫婦であっても子どもがいないケースもあります。

例えば、不妊治療を受けても子どもが授からなかった場合や、子どもが生まれても不慮の事故などで死去してしまったなどの場合があります。

もし、子どもがいない夫婦が高齢化を迎え、死を見据えるようになったタイミングで、相続などをどのようにすればよいか悩むものです。

では、子どもがいない夫婦の最後にはどのような問題が発生する可能性があるのでしょうか。

この記事では、主に相続トラブルに着目して解説します。

子供のいない夫婦の相続はどうなる?

誰かが死去した場合、遺産について相続をどのように行うかによって、トラブルが発生する場合が多いです。

特に、価値の高い遺産や借金などの負債がある場合、相続でもめるケースがあります。

遺産相続では、誰が相続人になるかという観点がとても重要です。

では、基本的な相続の範囲と順位は、どのようになっているのでしょうか。

基本的な相続の範囲と順位

法定相続人として遺産を相続できる人は、故人との関係が近い一定の範囲の親族に限定されます。

ただし、親族であっても法定相続人に必ずしもなるわけではありません。

法定相続人になれるのは、以下の人だけとなります。

  • 配偶者
  • 兄弟姉妹

さらに、法定相続人の範囲に含まれる人でも、相続人になる順位が法律上で決まっています。

必ず相続人となれるが配偶者であり、その他親族では以下の優先順位で決定します。

  • 第1順位:子またはその代襲相続人
  • 第2順位:直系尊属(両親、祖父母等)
  • 第3順位:兄弟姉妹またはその代襲相続人

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兄弟がいない場合

兄弟の場合、順位こそ低いものの相続人になることは可能です。

ただし、兄弟もおらず遺言書もない、債権者もいない、特別縁故者もいない場合は残された遺産は国庫に帰属する形が取られます。

これは、公益的な観点から、遺産が放置されるよりも国が取得して管理した方がよいという考えのもとで、国庫に帰属するように制度設計されていると考えられています。

子供のいない夫婦の相続トラブル

子供のいない夫婦で考えられる相続トラブルとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 配偶者に全財産を相続できない
  • 遺産分割協議が必要になる
  • 不動産を売却しなければならないケースもある

各トラブルの詳細は、以下のとおりです。
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配偶者に全財産を相続できない

相続においては、遺留分という考え方があります。

遺留分とは、遺言の内容に関係なく、相続人が最低限相続できる財産の割合を指します。

もし、夫が死去する直前に遺言で妻に対して全額を相続すると宣言しても、直系尊属がいる場合は遺留分を請求されると、相続しなければなりません。

遺産分割協議が必要になる

法定相続人となる配偶者と血族相続人については、遺産分割協議をおこなった上で相続分を決定する必要があります。

遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要となるため、なかなか話がまとまらないケースが多いです。

また、親族同士の人間関係次第では、まとめきれないケースがあり、他にも連絡をとることさえ困難な場合があります。

不動産を売却しなければならないケースもある

遺産となる自宅に配偶者が住み続けたい場合、他の相続人に対して代償金を支払う必要があるケースがあります。

もし、賠償金の準備ができない場合は場合、自宅を売却しなくてはならない可能性があるのです。

また、ビルや土地などの不動産を相続したいケースでは、どのように分配するかでトラブルになる場合もあります。

金銭の場合は分割が比較的容易ですが、不動産は分割が難しいケースが大半で、さらに土地などを細かく分配する場合、価値が下がる懸念があります。

子供のいない夫婦の相続対策

子どもがいない夫婦で相続する場合、主に以下のような相続対策が必要です。

  • 遺言書を作成・遺言執行者を選任する
  • 生前贈与をする
  • 任意後見契約を結ぶ
  • 死後事務委任契約を結ぶ
  • 家族信託を利用する
  • 生命保険に加入する

各方法の詳細について、詳しく見ていきましょう。

遺言書を作成・遺言執行者を選任する

子どもがいない夫婦において効果的な相続対策として、遺言書を作成する方法があります。

遺言書を作成すれば、相続を受ける人の希望通りに相続をすすめられるのでおすすめです。

ただし、直系卑属が存命している場合、遺留分が発生する可能性がある点には要注意です。

また、遺言の場合は遺言者の死亡により初めて効力が発揮される形となり、遺言者自身は実現したかどうかは確認できません。

そこで、遺言者の意思を忠実に実現する上で、遺言執行者の選任は必須です。

適切な人材を遺言執行者に選任できるかがポイントとなるため、しっかりと人選しましょう。

遺言書作成時の注意点

子どもがいない夫婦の場合、相続人が高齢であるケースも多いです。

そこで、遺産の相続先として考えていた人が先に亡ってしまうケースもあるのです。

自分の中で、誰に相続してもらおうか考える場合、あらゆるケースを想定して多くのパターンを用意しておくとよいでしょう。

例えば、遺産は妻にすべて相続する、または妻も亡くなった場合は甥の○○に相続させるなど、複数しておくともしもの時にも最適です。

ただし、あまりに複雑すぎるとどのように相続すべきか判断に迷うため、ちゅういしてください。

また、遺言書の内容は基本的には自由となりますが、遺言書の内容次第ではトラブルの原因となる場合があります。

特に、遺留分へ配慮して作成しないと、大きなトラブルに発展しかねません。

そこで、司法書士や弁護士といった専門家に遺言書の内容について相談すると、法律面で見ても適切な記載内容をアドバイスしてもらえるのでおすすめです。

生前贈与をする

遺言書と同じく、有効な相続対策として生前贈与する方法があります。

自宅を残された配偶者に確実に取得させたい場合には、生前贈与する方法が最適です。

平成30年の改正相続法において、結婚20年以上経過した夫婦間の居住用不動産の生前贈与は、遺産分割の際には考慮しないようになりました。

ただし、贈与する評価額の大きい不動産を生前贈与したい場合、贈与しない場合と比較して高い税金を負担しなければならない場合があるので、注意してください。

任意後見契約を結ぶ

任意後見契約とは、自分の判断能力がまだ十分あるタイミングで、将来的に認知症などで自分の判断能力が低下した場合に備え、自分の生活や財産の管理に関する事務を代行する人に事前に依頼しておく契約です。

任意後見契約では、ライフプランに対する方針を示し、実行してもらうことも可能です。

例えば、財産を用いてアパート経営してほしいなどの方針を示し、任意後見人に託すことができます。

死後事務委任契約を結ぶ

死後事務委任契約とは、自身が亡くなった場合の諸手続や葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する代理権を付与し、死後事務を委任する契約のことです。

死後事務委任契約では、委任する手続きの内容や人物を、行政書士や司法書士等の専門家と相談して自由に決定して契約可能です。

死後事務委任契約において具体的に委任する内容として、様々な項目を盛り込めます。

例えば、以下のような内容を委任できます。

  • 葬祭費の支払い
  • 遺言執行者の指名
  • 医療費の支払い
  • 各種届出等に関わる事務

遺言執行者の指名などもできるため、子どもがいない夫婦の相続対策としても活用したい制度です。

家族信託を利用する

家族信託とは、老後や介護時に備えて、保有している不動産や預貯金などを信頼できる家族に託して、管理や処分を任せる財産管理方法です。

家族信託を相続対策として活用する場合、対象となる財産を自由に設定できるメリットがあります。

また、二次相続を想定した相続対策としても、家族信託は非常に有効な選択肢です。

相続割合の指定は遺言書でおこなえますが、遺言書で指定できる範囲は遺言者である被相続人が亡くなった時の一次相続の方法のみです。

例えば、一次相続の被相続人がBさんに対し財産を相続させたいものの、Bさんの相続人であるCさんに相続させたくないという場合があります。

この場合、遺言書では希望を叶えることは困難です。

それは、Bさんが亡くなるケースでの相続は、Bさんが遺言書で意思を示さなければならないためです。

一方で、家族信託を活用することで、AさんはBさんを財産の受益者に指名して、Bさんが亡くなった後はCさんではなくDさんを受益者とできます。

以上のような方法を、受益者連続信託と呼ばれています。

このように、家族信託を利用すれば遺言書よりも自由に相続人を指定することが可能となります。

生命保険に加入する

生命保険金の死亡保険金は、相続財産ではなく保険金の受取人の固有財産となります。

よって、原則として遺留分の算定の基礎財産とはなりません。

以上から、生命保険に加入して受取人を配偶者とすれば、遺留分対策として有効です。

ただし、財産総額に対する保険金の金額が大きいケースなど、ほかの相続人との間で明らかな不公平が生じる場合は、例外的に生命保険金も特別受益とされるケースもあるのです。

これにより、遺留分算定の基礎財産に含まれる可能性は否定できません。

よって、生命保険により遺留分侵害額請求を完全に逃れることはできないものの、一つの手段としては有効です。

まとめ

子どもがいない夫婦が相続を考える場合、一般的な場合と違って様々な問題が発生する場合があります。

また、相続対策としても今回紹介したような方法を取れば、自分の意思を反映した相続が可能です。

もし、子どもがいない夫婦の方で、相続でお悩みの方は広島不動産までお気軽にご相談ください。
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